研究の背景
移植医療は多くの人々にとって必要不可欠な治療法ですが、ドナー不足は長年の課題です。この問題を解決する技術として期待されているのが異種移植であり、その中でも特に豚がドナー動物としての可能性を秘めています。しかし、異種移植の実施には、感染症リスクを正確に評価する手法が必要です。
研究チームの新手法
摂南大学の井上教授と明治大学の長嶋教授を中心とした研究チームは、異種移植用ドナー豚からのウイルス感染リスクを評価する新しい方法を考案しました。この方法は、従来の技術に比べて感染リスクをより正確に、また容易に評価できる点が特徴です。特に、研究チームは、ヒト細胞に蛍光ラベルを付与し、共培養を行うことで、ドナー豚の細胞とはっきり区別できるようにしました。これにより、移植時の状況に即した形で、感染リスクを分析できるようになりました。
感染リスクの評価
この新手法では、ヒト細胞と豚細胞を直接接触させることが可能になり、感染リスクが高まる条件も明らかにできました。特に、最短で24時間以内に感染が起こる可能性があることが判明し、これは世界初の知見です。
将来の展望
今後は、実際のレシピエントから採取した細胞を用いて、移植前に感染の有無を確認する実用化が期待されています。この手法を使用することで、異種移植の安全性が大幅に向上することは間違いありません。
研究の意義
異種移植の実現に向けた重要なステップとして、この研究の成果は国内のみならず国際的にも高く評価される可能性があります。特に、感染症リスクの評価は異種移植の成功には欠かせない要素です。新たに開発された手法は、特許出願もされており、今後の実用化が待たれています。
この研究成果は、2025年9月15日、国際異種移植学会の機関誌である「Xenotransplantation」に掲載される予定です。この業績は、今後の移植医療の発展に寄与することが期待されています。