気候変動に立ち向かう佐賀県の観光振興戦略とは

佐賀県の観光振興と気候変動対策

今年の夏、記録的な猛暑が日本を襲い、多くの地域で気温が過去最高を更新しています。その影響の一つとして、海水温の上昇が挙げられ、特に佐賀県では地域の名物である呼子イカが不漁になるという問題に直面しました。この問題は観光産業に深刻な影響を与えると懸念されましたが、佐賀県は新たなご当地グルメを開発することで、この窮地を克服しようとしています。

気候変動の影響と課題

2023年のデータによると、海水温が上昇し、従来漁獲されていた名物の呼子イカの漁獲量が著しく減少しています。そのため、呼子イカを求めて訪れた観光客の減少が懸念され、地域経済にも悪影響が及ぶ可能性があります。このままだと、地元漁師の待遇や労働環境の改善も難しく、県内外での消費ニーズの向上が急務とされています。

新たな取り組み

こうした状況を受けて、佐賀県では好漁な青魚を活用したご当地グルメの開発に力を入れています。具体的には、青魚や白身魚を使った「青と白の唐津ん魚めし」や、高級魚のアラ（クエ）を活かした「幻の唐津んあら鍋」を新たにメニューとして追加しました。これらは、地元の漁業者や行政、観光団体、飲食店と連携して実施されています。地域資源を見直し、観光客を呼び込む新しい試みが進められています。

さらに、地元店舗が集まり、おいしいグルメを構築するための勉強会やワークショップを行い、メニューやスタイルを確立してきました。実際、唐津ん魚のおいしさを伝えるホームページ制作や、観光客向けのパンフレット「ご当地じゃらん」も作成され、試食会などのプロモーションも展開されています。

成果と未来への期待

すでに、地元の新聞やテレビで取り上げられるなど、良い反応を示しており、パンフレットは用意した1万部が瞬く間に売り切れ、増刷の見込みです。また、2024年3月から開始したこの施策はまだ始まったばかりですが、地元飲食店からはご当地メニューを目当てに来店する客が増加したという声も寄せられています。

今後は市場に出回らない未利用魚や、害魚等の商品の開発も検討されており、さらなる可能性が広がっています。佐賀県は、このような取り組みを通じて、観光業と地域資源の活用を促進し、持続可能な発展を目指しています。