フマキラー、3Dプリンタによる効率化を実現
フマキラー株式会社が最近、産業用3Dプリンタ「ZRapid iSLA byBfull」の導入を決定しました。これにより、開発リードタイムの短縮とともに、材料コストが約90%も削減される見込みです。今回は、その背景や導入の効果について詳しく見ていきましょう。
導入の背景
フマキラーは、殺虫剤や家庭用品などを手がけるグローバル企業で、世界70か国で製品を展開しています。従来の成形法から3Dプリンタへと見直した際、保有していたインクジェット方式3Dプリンタにおいて、3つの大きな課題を抱えることとなりました。これらの課題を解決すべく、新たに「ZRapid iSLA byBfull」を採用する運びとなったのです。
ZRapid iSLAを選んだ理由
フマキラーが「ZRapid iSLA byBfull」を選定した理由は、エアゾールキャップやボトルなど、厚みが1~2mm程度の精密な形状を高精度で造形できる点です。比較対象となる他の機種に比べて、造形物の反りや歪みがほとんど発生しないため、製品の品質を大きく向上させることが期待されています。また、初期投資としても他の同等仕様の機種と比較してお手頃で、さらにはランニングコストの大幅な削減が可能であることも評価されています。
導入による効果
「ZRapid iSLA byBfull」の導入によって、特に中空のボトルを造形する際には、材料コストがインクジェット方式と比較して約95%も低減できました。さらに、造形時間も50%短縮され、全体の作業工数が大幅に削減されたと共に、後処理も簡素化されています。これにより、推計で年間90%の材料コスト削減が見込まれるというのです。
従来のインクジェット方式ではアンダーカット部に支持材が必要でしたが、iSLAでは複数の微細な点で部品を支持するため、支持材の使用量とその除去の手間が大幅に軽減されました。
ZRapid iSLA byBfullの特徴
「ZRapid iSLA byBfull」は、中国の3DプリンターメーカーであるZRapid社が開発したもので、光造形技術において世界でも高い評価を得ています。iSLAシリーズは3,500台以上の販売実績を持ち、そのコストパフォーマンスは保証されています。株式会社Bfullでは、国内の製造業向けに独自のパラメータ設定を施した上で販売を行っています。
フマキラーとBfullのプロフィール
フマキラーは1874年創業の企業で、殺虫用品をはじめとする製品を製造・販売しています。経営理念として「ひとの命を守る」「ひとの暮らしを守る」「ひとを育む環境を守る」を掲げ、グローバルな市場での強みを発揮しています。
一方、株式会社Bfullは、日本国内で最大級の産業用大規模光造形3Dプリンターを保有し、年間150万パーツを製造しています。2020年からは工業向けの受託造形サービスも行い、急速な成長を遂げています。
フマキラーの新たな取り組みが、今後どのような成果を上げるのか注目されます。この技術がもたらす革新に期待が高まるばかりです。