KPMGジャパン CFOサーベイ2024が示す企業経営の新たな視点
2024年のKPMGジャパンによるCFOサーベイが発表され、その内容には現代の企業経営における重要な洞察が含まれています。このサーベイは、日本国内の上場企業のCFOを対象に、経営の変革と信頼の両立をテーマとして実施されました。情報時代を迎え、企業が直面する課題が多様化する中で、CFOの果たす役割はますます重要性を増しています。
CFOの役割が持つ重要性の変化
調査では、CFOが期待される役割として「事業の選択と集中」が最も優先されていることがわかりました。このテーマに対しては、60%のCFOがリソース配分の最適化を通じて企業価値向上を実現するために「変革」を起こすことを求められています。企業が競争力を維持し、成長を続けるためには、果敢な経営判断が不可欠です。
企業が進めるべき施策
次に優先度が高い取り組みとして「既存事業の収益性の向上」が77%と圧倒的な支持を得ています。さらに「オーガニックな成長」や「インオーガニックな成長」に関連する施策も重視されており、特に人的資本の強化が重要な手段であることが浮き彫りになっています。ただし、「不採算事業からの撤退・売却」は31%、「ノンコア事業からの撤退・売却」は15%に留まり、事業ポートフォリオの組換えは低めの優先順位とされています。
第一線からの示唆
興味深い点として、CFOが資本収益性が低い事業から撤退しない理由が挙げられています。一部の企業は「構造改革中なので撤退には至っていない」または「基準やプロセスが設けられていない」とのコメントが多く、これは日本企業が事業ポートフォリオの新陳代謝に課題を抱えていることを示唆しています。
CFO職の認知度の高まり
さらに、CFOという役職を設置している企業の割合は年々増えており、特に売上高5,000億円以上の企業では約6割がCFOを設けているとのことです。これは、企業の財務戦略や経営戦略の重要性が広く認識されつつある証と言えるでしょう。特に大企業を中心に、この役職はますます定着し、経理財務部門の業務高度化を進めています。
経営の高度化に向けた優先テーマ
経理財務部門の高度化に関する優先テーマとしては、前年に引き続き「中期的な成長、中期経営計画の策定に対するさらなる貢献」が挙げられています。また、「業務管理の精度・スピードの向上」も重要視されており、特に「事業ポートフォリオの見直し、ポートフォリオマネジメントの強化」への関心は前年から10ポイント増加しています。これにより、企業の柔軟な対応力が求められる時代が進行しています。
調査概要
- - 名称: KPMGジャパン CFOサーベイ2024
- - 調査対象会社: 上場企業のCFOまたは経理財務部門責任者
- - 調査期間: 2024年6月10日~9月30日
- - 調査方法: ウェブアンケートシステムによる回答
- - 有効回答数: 404社
このように、CFOサーベイ2024の結果は、企業経営の方針やCFOに期待される役割の変化を明示しています。デジタル時代の到来に伴い、経営者はより柔軟な思考と行動が求められることが再確認されました。