CCS事業法の最新動向と実用化に向けた課題:弁護士が解説するセミナーレポート
2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」では、CCS事業が重要な役割を担うとされています。そして2024年5月には、CCS事業法が成立し、本格的なCCS事業の実現に向けた動きが加速しています。
本記事では、2024年8月23日に開催された、新社会システム総合研究所(SSK)主催のセミナー「CCS事業法の概要と実用化への分析」の内容をレポートします。講師は、森・濱田松本法律事務所の弁護士/ニューヨーク州弁護士である鮫島裕貴氏です。
セミナー内容:CCS事業法の概要と実用化への課題
セミナーでは、CCS事業法の成立背景から、具体的な内容、そして実用化に向けて克服すべき課題まで、多岐にわたる内容が解説されました。
1. CCS事業の現状とCCS事業法の背景
まず、鮫島弁護士は、CCS事業の現状とCCS事業法成立の背景について説明しました。
- - 近年、地球温暖化対策として、二酸化炭素の排出削減が世界的に求められています。
- - その中で、CCS事業は、二酸化炭素を分離・回収し、地中などに貯留することで、大気中への排出を抑制する技術として注目されています。
- - CCS事業法は、このような背景から、CCS事業を促進し、日本の脱炭素化社会の実現に貢献することを目的として制定されました。
2. CCS事業法の概要
次に、CCS事業法の具体的な内容について解説されました。
- - CCS事業法では、試掘・貯留事業の許可制度、貯留事業者に対する規制、導管事業に対する規制などが定められています。
- - 鮫島弁護士は、これらの制度について、具体的な例を挙げながら丁寧に説明しました。
3. 海底下におけるCCS事業
セミナーでは、特に海底下におけるCCS事業について詳しく解説されました。
- - 海底下は、陸上に比べて貯留スペースが広く、安定していることから、CCS事業の有力な候補地とされています。
- - しかし、海底下におけるCCS事業には、海洋環境への影響や、技術的な課題など、多くの課題も存在します。
- - 鮫島弁護士は、これらの課題について、最新の研究成果や技術開発の動向などを交えながら解説しました。
4. 事業リスクの分析とプロジェクトファイナンス
CCS事業は、非常に大規模な投資が必要となるため、事業リスクの分析と、プロジェクトファイナンスの視点からの考察が重要となります。
- - 鮫島弁護士は、CCS事業におけるリスク要因を分析し、リスク軽減のための対策や、プロジェクトファイナンスの仕組みについて解説しました。
5. 質疑応答
セミナー後半には、参加者からの質問に鮫島弁護士が丁寧に答える質疑応答セッションが行われました。
- - 参加者からは、CCS事業法に関する具体的な質問や、CCS事業の将来展望に関する質問などが寄せられました。
まとめ:CCS事業の実用化に向けた課題と展望
本セミナーでは、CCS事業法の概要や実用化に向けた課題、そして今後の展望について、詳細な解説がありました。
- - CCS事業は、日本の脱炭素化社会の実現に不可欠な技術であり、今後ますます注目されていくことが予想されます。
- - しかし、同時に、CCS事業には、環境への影響、技術的な課題、経済的な課題など、多くの課題も存在します。
- - 今後、これらの課題を克服し、CCS事業が実用化されるためには、政府、企業、研究機関など、様々な主体による協力が不可欠です。
本記事が、CCS事業に関心のある方の参考になれば幸いです。
【参考情報】
- - 新社会システム総合研究所 (SSK):https://www.ssk21.co.jp/
- - CCS事業法:https://www.env.go.jp/policy/ccus/ccs_law.html