教育のデジタルトランスフォーメーション:利島村の取り組み
東京都の伊豆諸島、利島村は、教員の赴任経験を強化するための教員研修モデルを開発しました。これは、みずほリサーチ&テクノロジーズが支援し、文部科学省の事業に採択された結果実施されたものです。その目的は、教員の成長環境を活かし、「教員が必ず育つ赴任経験」を目指すことです。
取り組みの背景
利島村は、人口わずか300人の小さな島で、教育機関は小学校と中学校が併設されています。今年からは、伊豆諸島初の義務教育学校へ移行し、約30人の児童生徒が在籍しています。この過酷な環境において、教員にとって挑戦的な赴任経験が教職観を再整理するきっかけになると教育委員会は考え、デジタル技術を活用しながら研修プログラムの実施を計画しました。
アクションリサーチによる教員研修
本プログラムでは、アクションリサーチと呼ばれる方法論を採用しています。この手法は、教員自身が課題意識を持ち、自ら研究テーマを設定して取り組むもので、参加教員は約半年間にわたり試行を重ねました。10名程度の教員が協力し、現場の授業実践をもとに数回の振り返りを行うことで、手法を洗練させてきました。
このアプローチにより、教員は自らの課題を深く追求し、実践的な改善策を見出すことができました。みずほリサーチ&テクノロジーズは、研修内容の作成から実施支援を担当し、教員の感想をもとにプログラムを継続的に改善しています。特にデジタル会議ツールを活用したヒアリング方法が、参加教員の関心を引き、効果的な研修を実現しました。
教員の赴任経験と見える化の指標
教員の赴任経験の効果を明確にするために、2つの「見える化」リストも作成されました。これは「教育成果指標リスト」と「教員の資質能力向上に向けた行動チェックリスト」であり、今後策定される教育振興基本計画や学校での取組みの基盤となるものです。
このリストは、指標の活用を通じて目標設定やPDCA(Plan-Do-Check-Act)のプロセスに役立てられるよう設計されており、教育評価の透明性を高めます。文部科学省の指標をもとに、利島村独自の教育方針を反映した指標が整理されています。
結果と今後の展望
利島村におけるこの教育DXの取り組みは、今後の教育方針の基礎ともなり、研修プログラムの継続的な実施や他自治体への普及も視野に入れています。地域の特性を活かしたプログラムが、教員の質を向上させ、児童生徒にとっても良い教育環境を提供することが期待されています。これにより、教員が育つ環境を整えることで、村の未来を支える人材育成につながることが希望されています。
お問い合わせ
本件に関しての詳細は、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社の広報室までお問い合わせください。