超高層ビル建設現場の新たな通信手段「スカイクリア」
近年、都市部での建設現場では、高層ビルの施工が進んでいますが、その中で通信手段が重要な役割を果たしています。そんな中、清水建設グループの株式会社エスシー・マシーナリ(SCM)、パナソニック ホールディングス株式会社、そしてシャープ株式会社の3社は、タワークレーンオペレータと玉掛合図者の無線通話を円滑にするためのクレーン用デジタル合図無線「スマホ無線機【スカイクリア】」を共同開発しました。
伝統の無線機が抱える問題点
従来、建設現場で使われるクレーン用の合図無線機はアナログ特定小電力無線機が主流でした。しかし、高さ200メートルを超える超高層ビルの現場では、電波が届かない、またはクレーンが密集することで通信が混信するなどの問題が発生していました。これらの問題は、安全な施工を妨げる大きな要因です。そこで、「スカイクリア」が登場します。
高度な通信技術「sXGP」とは
「スカイクリア」は、sXGP(shared eXtended Global Platform)という通信方式を用いています。この技術は、スマートフォンと同じ通信回線を利用した最新のモバイル通信方式で、ノイズの少ないクリアな通話が可能です。最大32台のスマートフォンを接続でき、複数のグループでの通話も同時に行えます。さらに、無線局の免許が不要なので導入が容易です。
実証実験の成果
この技術は都心の高層オフィスビルの施工現場で実際に運用され、すでにその性能が確認されています。低層階に設置されたマスター基地局と、タワークレーンのガイドマストに取り付けられたアンテナが、タワークレーンオペレータとの間でクリアな通話を実現。通信性能の高さが評価され、この秋には「TOKYO TORCH」街区で施工中の「Torch Tower」での導入が決定しています。
三社協力による開発体制
開発には、SCMが実証実験の現場調整や重機の提供を担当し、パナソニックHDが通信インフラの構築を、シャープがスマートフォンや専用アプリの提供を行いました。このチームワークにより、優れた技術実証が実現しました。
今後の展望
「スカイクリア」は、300メートルを超える超高層ビルのほか、隣接した大型現場や密集したクレーンのある施工現場にも対応可能です。SCMは、建機事業とこの新しい通信ソリューションを組み合わせることで、現場での作業効率と安全性を高めるとともに、差別化を図る方針を示しています。
この新たな技術の普及が、今後の建設現場での安全性をさらに向上させることが期待されています。