大企業のIT部門と事業部門の連携実態調査が示す現状と課題

大企業のIT部門と事業部門の連携実態調査

はじめに

近年、企業においてIT部門と事業部門の連携が求められる中、サイボウズ株式会社が実施した実態調査の結果が公開されました。この調査では、従業員数が1000人以上の560社のIT部門における課題や現状が明らかになっています。

調査結果とその意義

調査によれば、実に85％の企業が「部門間連携」を重視していますが、経営層の支援が実際に行われているのは半数にとどまっています。このギャップは、企業が抱える大きな課題の一つと言えるでしょう。

1. 部門間連携の重視度

調査によると、全体の26%の企業が「大いに重視している」と回答し、59%が「ある程度重視している」と返信しました。これにより、部門間連携を重視する企業の合計は85％に達します。この結果は、企業が今後の成長戦略において連携を不可欠な要素と捉えていることを示しています。

2. 経営層の関与

興味深いことに、経営層が部門間連携に「関心があり、支援している」と回答した企業は51%に留まり、「関心はあるが支援していない」との回答も39%ありました。企業全体の90%が経営層の関心を示す一方、実際のサポートは限定的でした。この点は、さらなる啓発や教育が必要であることを示唆しています。

3. 具体的な取り組み内容

連携の具体的な取り組みとしては、セキュリティ強化が最も多く、50%の企業がその重要性を認識しています。一方で、データ活用の必要性は34%にとどまり、実際の取り組みは進んでいないことが浮き彫りになりました。

4. データ活用の課題

特に「全社・事業部門間のデータ活用」が最も必要とされていますが、実施できていない状況が続いています。この現状は、経営層の関与や支援が大きく影響していることが分かります。支援のある企業では44%がデータ活用に取り組んでいますが、支援がない企業ではその割合が30%と低下します。

5. 部門間連携の実態

部門別のIT部門との連携状況も興味深い結果が出ました。営業部門が最も連携できている一方、法務部門は最も少ない結果でした。これは部門によってITの活用度合いが異なることを示唆しています。

6. 課題の認識

部門間連携において最も挙げられた課題は「人的リソース不足」で、これが50%の企業に影響を与えています。また、ITリテラシーの差も44%の企業で課題とされています。特にCIOやCTOがいる企業では、これらの課題の負担が軽減される傾向にあることが明らかとなっています。

おわりに

サイボウズの調査結果は、IT部門と事業部門の連携における課題を示すだけでなく、企業全体が成長を目指すためにどのような改革が必要であるかを考えさせられる内容です。今後もこの視点から、企業が持つ課題やそれに対する取り組みを継続的に評価する必要があるでしょう。さらに詳細なデータについては、サイボウズのオウンドメディア「IT Foresight」から無料でダウンロード可能です。