日立ハイテク、米国Nabsys社を連結子会社化
株式会社日立ハイテク(以下日立ハイテク)は、ヒトゲノムの構造多型情報の取得を行うNabsys 2.0 LLC(以下Nabsys社)を連結子会社化しました。この動きは、日立ハイテクの分子診断事業の強化につながり、特にがんの研究において重要な役割を果たすことが期待されています。
連携の歴史
日立ハイテクは2019年にNabsys社に出資し、業務提携を開始しました。両社はヒトゲノムの構造多型解析に向けての共同研究を進め、疾病の原因解明や新たな診断法の開発を目指してきました。特に、ゲノムマップデータの取得や解析技術の向上に力を入れてきたのです。
解析技術の革新
Nabsys社は、独自のElectronic Genome Mapping技術を活用した装置「OhmX」を開発しました。この技術により、ヒトのゲノム構造多型の位置特定を行うことが可能です。日立ハイテクは、この「OhmX」で取得されたデータを用いて、クラウド解析サービス「Human Chromosome Explorer®(以下HCE)」を提供し、2023年には米国市場で販売を開始しました。
このHCEは、構造多型解析において重要な役割を果たし、取得したゲノム情報とは別に構造多型の位置を特定する能力が特徴です。
新たな展望
Nabsys社の傘下に入ったことで、日立ハイテクはゲノムマップデータを取得するための装置開発や生産体制を強化します。この成果として、がんや未診断の疾患に関する研究を支えるためのサービスをグローバルに展開していく計画です。日立ハイテクは「Innovating Healthcare, Embracing the Future」を掲げ、体外診断や放射線治療の効率化を通じて、高品質な医療の提供に取り組んでいます。
トップメッセージ
日立ハイテクの高木由充執行役員は、「Nabsys社の技術と日立ハイテクのHCEを組み合わせることで、がんや未診断疾患の研究や診断法の改善に寄与したい」と述べています。Nabsys社のCEO、Barrett Bready氏も、「日立ハイテクのヘルスケアビジョンとNabsysのミッションは非常に一致している」とし、この連携を歓迎しています。
医療の未来に向けて
日立ハイテクは、医用分析装置やバイオ関連製品の開発・販売を手がけ、特にゲノム解析の分野での長い歴史と実績を有しています。また、ヘルスケア事業においては「見る・測る・分析する」という技術を基に様々な社会課題の解決に貢献してきました。
Nabsys社は、米国ローデアイランド州プロビデンスを拠点にした企業であり、同社の目的として疾患の理解を深めることが挙げられています。これにより、患者の治療成績を向上させることを目指しています。
日立ハイテクによるNabsys社の傘下化は、今後の分子診断事業の進展に大きな影響を与えるでしょう。ゲノム解析技術の革新により、多くの人々が恩恵を受けることが期待されています。今後も日立ハイテクは、患者に寄り添った医療の提供を支え、質の高い生活を実現するために努力していくことでしょう。