ブランドマーケティングの新たな視点を探る
2023年11月12日、渋谷のKOBUSHI BEERで開催されたクローズド勉強会「ブランドの“体温”をどう伝えるか」では、株式会社ビームスの土井地博氏と、モデレーターの久保田夏彦氏が集まりました。このイベントは、現役のマーケターや事業責任者、計20名が参加し、教科書的ではない現場の生の声を交えたディスカッションが行われました。
参加者の関心を引く背景
新設の渋谷ブランドマーケターコミュニティは、自社ブランドを自らの手で動かす実務家同士が集い、本音での議論を促すことを目的としています。この日のテーマは、ファンを惹きつけるための仕組みでした。土井地氏と久保田氏は、それぞれの経験を基にした具体的事例を交えながら、参加者たちとの活発な意見交換を繰り広げました。
1. ライフワーカーという生き方
土井地氏は、自身の働き方について「仕事とプライベートの境界を消すライフワーカーでありたい」と発言しました。働くことが好きな参加者は、この考え方に共感を覚えたようです。
「働くことは、人生そのものを楽しむためのサイクル」
続けて、久保田氏も同様の認識を示し、ビームスが単なる洋服店ではなく、ライフスタイル全体を提案するブランドであると分析。ライフスタイルと仕事の融合が、自然な姿であると語りました。
2. アナログの復権
議論は現代における「リアルな体験」の価値に移りました。土井地氏は、過去のエピソードを通じて、地域の文化を体験することが如何に重要かを熱く語りました。
「手間をかけることの価値が再認識される時代」
コロナ禍を経て、効率性だけでなく、体験の「ノイズ」がブランドへの愛着を生む要素であることが指摘されました。これはデジタル化が進む現代において、手作りの温かさや人とのコミュニケーションが、より一層の価値を持つことを示しています。
3. 心の中の「10個の椅子」理論
新たなブランドの在り方について、土井地氏は「10個の椅子理論」を提唱。私たちの心の中には、選択肢が限られているため、ブランドがどのようにその「椅子の一つ」として選ばれるかが重要だと説明しました。
「信頼できる人や場所の情報を通じて選ばれることが肝要」
4. “劇場化”する店舗戦略
土井地氏は、ビームスの店舗戦略について「劇場化」という視点からアプローチしました。店舗は単に商品を売る場ではなく、交流の場であり、経験が重要であると話しました。
「店舗自体が感じる場所であり、滞在したくなる体験が必要」
5. 次回の展望
最後に、次回の勉強会についても語られ、参加者が更なるブランド戦略について学べる機会が期待されています。
このように、いかに魅力的なブランドを作り出すかという本質を掘り下げた勉強会は、参加者にとって非常に有意義な時間であったといえるでしょう。来年も引き続き、渋谷ブランドマーケターコミュニティは実務家による知見を深める機会を提供していく予定です。