バイオスティミュラント資材の適正利用自主規格の発表
2025年4月15日、日本初となるバイオスティミュラント資材の適正利用に関する自主規格が、脱炭素地域づくり協議会(Eco-LAB)から発表されました。この自主規格は、農林水産省が提示した「バイオスティミュラントの表示等に係るガイドライン(案)」に基づき、農業の現場で求められる基準を定めています。
バイオスティミュラントとは
バイオスティミュラントとは植物への刺激を与え、植物自身の生理機能を高める資材の総称です。適切に使用することで、植物の栄養成分の取り込みや利用効率を向上させ、環境ストレスへの耐性を強化します。これは気候変動が農業に与える影響に対する重要な対策でもあります。
自主規格の背景
世界的に見ると、特に欧米ではバイオスティミュラントの効果が明確に確認されるべきだという合意が形成されています。しかし、日本では「同じ原料を使っているならバイオスティミュラント」といった認識が広がっており、実際の効果についての理解が不足しています。これが原因で、多くの農業生産者が効果の不明確な資材を選んでしまうことがあります。結果として、農作物の生育や品質改善が見られず、投資に見合った成果が得られないケースも増えていました。
Eco-LABの取り組み
Eco-LABは、9月に設立されて以来、農業協同組合を中心にバイオスティミュラント資材に関する知見の共有や情報発信を行ってきました。また、海外の研究事例を基に正しい知識を広めるための勉強会も進めています。今回の自主規格発表は、農林水産省のガイドライン案に照らし合わせたものであり、業界全体の理解を深めることを目指します。
自主規格の内容
自主規格は、農業現場でのバイオスティミュラントの適切な利用を目的としています。具体的には、試験方法や判定基準が定められており、農業生産者が安心して資材を選べる環境が整備されます。こうした試験の結果や評価に基づいた資材を選ぶことで、農業の生産性や持続可能な発展が期待されています。
今後の展望
エコラボは、引き続き「みどりの食料システム戦略」の実現に向けて、バイオスティミュラントの普及に取り組んでいきます。農業界における情報の整理と発信を積極的に行い、正しい知識を持って農業生産を行うことの重要性が高まっているこの時期に、新たな基準が確立されたことは大変意義深いことです。農業生産者は技術の進展を受けた知識を生かし、自らの農地で直接的な効果を実感できるようになります。
Webサイトでは、Eco-LABが作成した自主規格やガイドラインの詳細が公開されており、それをぜひ活用し、適切な資材選びに役立てていただきたいと思います。
自分自身の声で農業の未来を築くためにも、科学に基づいた判断を重視し、持続可能な農業に向けた歩みを進めていきましょう。