一般財団法人日本規格協会(JSA)は、2025年4月に液化天然ガス(LNG)に関する新しいISO規格の邦訳を発行することを発表しました。これにより、LNG業界の温室効果ガス(GHG)排出量の計算手法やガスバーナの安全性に関する基準が整備されることになります。
液化天然ガス(LNG)について
LNGとは、天然ガスを冷却して液体化したもので、マイナス162度で液体になり、その体積は気体時の600分の1となります。この特性を活かし、LNGは大規模に運搬できる形態で、国内外での需要が高まっています。LNGは特にクリーンなエネルギー源として評価され、石炭と比較してCO2排出量を約6割、窒素酸化物を約2~4割削減できるため、世界中で需要が増加しています。
発表されたISO規格の詳細
新たに発行されるのは以下の2つの規格です。
1.
ISO 6338-1:2024 - 液化天然ガス (LNG) チェーン全体にわたる温室効果ガス (GHG) 排出量の計算 - 第1部:概要
- この規格は、LNGチェーン全体でのGHG排出量を算定するための基本的な方法を提供します。これにより企業は自社のカーボンフットプリントを正確に把握し、持続可能な事業運営に寄与することが期待されます。
- 価格:
英語版25,410円、邦訳版45,738円。
2.
ISO 23551-1:2024 - ガスバーナ及びガス燃焼機器の安全性及び制御装置 - 特定要求事項 - 第1部:自動弁及び半自動弁
- この規格は、燃料ガスを使用するバーナーや機器に適用され、ガスの安全性を確保するための具体的な要件を示しています。
- 価格:
英語版29,837円、邦訳版53,707円。
これらの規格により、日本国内でのLNGに関する安全管理と環境配慮のレベルがさらに向上すると期待されています。
LNG需要の背景
近年、LNGの需要が急増している背景には、環境への配慮が大きく影響しています。LNGは、環境負荷が少ないため、各国でクリーンエネルギーの選択肢として広く認知されています。また、埋蔵量が豊富で、世界中で安定供給されるため、経済的な面でも注目されています。さらに、燃焼効率に優れ、安定的な電力供給を実現できる点でも利点があります。
日本規格協会について
日本規格協会は、1945年に設立され、標準化技術の普及や管理技術の向上に寄与することを目的としています。JISやISO規格の開発に加え、品質管理検定などを通じて、国産の標準化を支援しています。今回のISO規格の発行も、その一環として捉えられています。
LNGのさらなる普及は、クリーンエネルギーの需要に応える重要な要素であり、今後の業界を大きく発展させる要因となるでしょう。日本規格協会の新たな取組みは、産業界においても非常に意義深いものといえます。