NTTドコモ、量子コンピューティングを駆使した新技術でネットワークの最適化
株式会社NTTドコモが新たに導入したネットワーク最適化手法は、量子アニーリング技術を基にしています。この「TA-List最適化アルゴリズム」は、従来の方式では難しかった位置登録信号とページング信号の同時削減を実現しました。
量子アニーリングの力
この技術を採用することで、スマートフォンなどの端末から送信される位置登録信号を最大65.3%、着信時に送信されるページング信号を7.0%削減できることが確認されました。これにより、無線リソースが増加し、結果として通信速度の向上が期待されます。
TA-Listとその役割
TA(Tracking Area)は、複数の基地局から構成され、端末が最後に接続した基地局へページング信号を送信する役割を果たしています。一方、TA-Listは、複数のTAとその範囲をカバーしており、内外での通信を効果的に管理します。
従来のシステムでは、これらの信号はトレードオフの関係にあり、位置登録信号が多くなればなるほどページング信号が広範囲に及び、このバランスがネットワークの過負荷を引き起こしていました。しかし、今回の新技術により、これらの信号数を同時に最適化できる枠組みが整いました。
どのように実現したのか
ドコモは、巨大なデータの組み合わせ問題を解くために量子アニーリングを利用しました。その結果、従来のコンピューターでは処理が難しかった組み合わせの最適解を短時間で導出できるようになりました。具体的には、わずか5分程度の計算で、全国規模でのスケールアップが可能になるという成果が得られました。
導入効果と今後の展望
この新たな技術はすでに特定エリアで適用されており、その効果が顕著に現れています。端末がTA-Listを跨いで移動する際の位置登録信号数が、大幅に減少したことがデータとして示されています。また、最適化の導入によって、ページング信号も同時に削減されることが確認され、両者のトレードオフが解消される結果となりました。
NTTドコモは今後も、量子コンピューティングの基盤を活用した技術の研究開発を続け、多様な分野での課題解決に向けた取り組みを進めていく方針です。量子コンピューティングの革新が、いかに私たちの通信環境を変えるのか、これからの進展が楽しみです。
図1. 本技術の導入イメージ
図2. 最適化結果のネットワーク適用時の位置登録信号数の変化
図3. 最適化結果のネットワーク適用時のページング信号数の変化
まとめ
今回の取り組みは、量子コンピューティングの実用化の一歩として重要であり、今後の通信技術の進化に期待が寄せられます。NTTドコモの新しいアプローチが、私たちの生活にどのような影響を与えるのか、未来が待ち遠しくなります。