東急不動産の新たなチャレンジ:ネイチャーポジティブ宣言の詳細
最近、東急不動産ホールディングス株式会社は、リゾート事業において「ネイチャーポジティブ宣言」を公表しました。この宣言は、環境省が推進する「2030生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF)」に参加するもので、生物多様性の保全と回復に向けた具体的な取り組みを示しています。これにより、同社は環境先進企業としての道をさらに進めることを目指しています。
環境経営の取り組み
東急不動産グループは、「長期ビジョン」及び「中期経営計画2025」において、環境経営を全社の基本方針として位置付けています。脱炭素社会や循環型社会、生物多様性の推進はその中でも特に重要な課題です。生物多様性は、自然環境に依存し、多種多様な形で事業に影響を及ぼすため、その保全は企業の持続可能な成長に欠かせない要素とされています。
東急不動産は、2011年に策定した「生物多様性方針」に基づき、早期から自然と共生する取り組みを進めてきました。2023年6月には、「TNFDフォーラム」にも参加し、国内不動産業界では初めてとなる「TNFDレポート」を発表。自然資本に関するリスクと機会を評価し、事業に与える影響を見える化しています。
ネイチャーポジティブ宣言の内容
ネイチャーポジティブ宣言では、特に生物多様性の定量化に焦点を当てた新たなアプローチが強調されています。具体的には、東急不動産ウェルネス事業ユニットと東急リゾーツ&ステイが、MS&ADインターリスク総研と地域環境計画と共同で、リゾート事業における生物多様性価値の定量化を行い、その価値を向上させるためのアクションプランの策定に着手しました。
この取り組みは、周囲の自然環境や地域社会との協働を重視しており、例えば生物の分布や保全の貢献度を数値化することで、具体的な目標を設定し、持続可能なリゾート開発を推進することを目指しています。
実例:東急リゾートタウン蓼科の取り組み
具体的な取り組みの一例として「東急リゾートタウン蓼科」が挙げられます。このリゾートでは、2022年度に環境省が認定する「自然共生サイト」として認証を受け、スキー場やゴルフ場を含むリゾート施設全体で多様な生物を保護する活動を行っています。2023年時点では、1,699種の動植物が確認され、うち32種が環境省や長野県のレッドリストに載っている希少種でした。
また、土地利用に関するインパクトの定量分析も進行中で、森林面積の推移を評価し、事業運営がネイチャーポジティブに貢献していることが確認されています。
生物多様性を企業文化に
このように、東急不動産のネイチャーポジティブ宣言は、単なる理念ではなく、具体的なアクションを通じた実現を目指しています。企業としての責任を果たし、未来に向けた持続可能な環境作りが求められる中、同社の取り組みが地域社会や他の企業にも波及効果をもたらすことを期待しています。
今後の展望
東急不動産のすべてのリゾート施設において、このネイチャーポジティブ宣言を有効に活用し、訪れるお客様や地域コミュニティに対して自然環境への理解を深めてもらうことが重要です。「生物多様性を育む」、「地域の未来を創る」、「地域のエネルギーを活かす」という三つのテーマに基づき、日常の環境意識を高める体験を提供していくことが求められています。今後もさらなる取り組みを加速させていくでしょう。