京王電鉄、環境配慮型の変圧器を導入
京王電鉄株式会社(本社:東京都多摩市、代表取締役社長:都村智史)は、府中変電所において、環境負荷を指摘した天然エステル油を使用した変圧器「FR3®Fluid」を導入することを決定しました。これは、当社にとって初めての試みであり、持続可能な電力供給を目指しています。
本変圧器の最大の特徴は、従来の鉱油系絶縁油の代わりに、大豆油由来の天然エステル油を使用している点です。これにより、廃棄物の発生を抑え、土壌汚染のリスクを最小限にすることが可能になります。万が一、絶縁油が漏れたとしても、この天然エステル油は高い生分解性を持ち、環境への悪影響を抑えることが認められています。さらに、エコマークも取得しており、この環境に配慮した設計が評価されています。
低炭素社会に向けた取り組み
京王電鉄の本変圧器は、脱化石資源を重視した設計が施されています。大豆油は、植物由来であるため、育成中に二酸化炭素を吸収し、油の製造に必要なエネルギーも少なく、ライフサイクル全体での二酸化炭素の排出量は、鉱油に比べて約98%削減されるとされています。このような取り組みにより、京王グループは「環境にやさしく」を理念に掲げ、持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。
「FR3®Fluid適用変圧器」の概要
本変圧器の設置場所は、京王線府中変電所で、運用開始日は2024年11月27日を予定しています。この設備は、電車の運行に必要な電気を供給し、架線から受電した高圧の電気を、電車に必要な電圧に変換する役割を果たします。
- - 容量: 4,300kVA
- - 電圧: 66kV
- - サイズ: W5,455mm × D3,200mm × H3,725mm
- - 冷却方式: 油入自冷式
- - 製造元: 富士電機株式会社
環境へのさらなる取り組み
京王電鉄は、環境マネジメントの一環として、回生ブレーキの導入や上下線一括き電化など、多方面にわたる環境保護施策を進めています。回生ブレーキでは電車がブレーキをかけた際に発生した電力を他の電車が再利用できるようにし、エネルギーの効率利用を図っています。これにより、1999年から京王線・井の頭線全車両への導入を完了し、環境負荷の低減に寄与しています。
また、上下線一括き電化により、電気の損失を最小限に抑え、持続可能な運行システムの構築を進めています。京王グループは、今後も環境保護を目的とした機器の導入や省エネルギー施策を推進し、脱炭素社会の実現に貢献する取り組みを続けていきます。