全国のおでん文化を深く探る新書『おでん学!』が重版
2025年12月10日に出版された『おでん学!』(祥伝社新書)が、発売からわずか2週間で重版決定となりました。この書籍は、研究歴30年を持つ紀文食品のおでん研究班が執筆したもので、おでんの奥深い世界を探求する一冊です。
歴史と多様性を余すところなく
本書は「食の民俗学」として、おでんを多面的に分析・解説しています。おでんの始まりは田楽豆腐に遡り、全国各地に広がったその進化の過程を豊富なデータをもとに辿ります。特に第3章では、全国のおでん文化を地域性に基づいて比較しており、独自のスタイルを持つ各地のおでんを鮮明に描写しています。
例えば、家庭での調理時間に着目し、その長さが本州の中央部に位置するフォッサマグナを境に異なることがわかります。西日本では牛すじを使ったおでんが一般的で、その調理時間はおよそ72.1分。対照的に東日本では48.4分と、約1.5倍の違いが見られます。この調査から、地域の食文化がどのようにおでんに表れているのかが明らかになりました。
おでんの魅力とは?
紀文食品の広報室に所属する著者、萩原ゆみ氏は、おでんの魅力が多面的であること、またそれぞれの地域に特有の種ものが存在することを強調しています。昆布やクジラ、練りもの、肉、味噌など、それぞれの地域の風土や歴史が要素となり、家庭料理として親しまれているのです。
戦後からは家庭料理として広まり、コンビニの普及とともに大衆化し、さらに近年ではオシャレなおでんのバリエーションも登場しています。令和では、劇場型の新たなおでん体験が提案されており、時代と共に変化する食文化の代表と言えるでしょう。
おでんの未来を見据えて
著者は、司馬遼太郎氏の言葉を引用し、「おでんは多様性と包摂の象徴」であると述べています。このように、鍋の中で個性を保ちながら調和するおでんの姿は、現代社会を映し出す鏡のようにも感じられるとのことです。文化や価値観の多様性を理解する上でも、非常に興味深い視点だと言えるでしょう。
書籍の詳細
本書はおでんに関する幅広い知識を提供するだけでなく、実際の調理法や種ものの特性についても詳しく記載されています。巻末には「おでん種もの図鑑」もあり、各地のおでん文化をさらに楽しむ手助けをします。
- - 発行日: 2025年12月10日
- - 定価: 本体価格1,200円+(税)
- - ISBN: 978-4-396-11724-5
おわりに
おでんはただの鍋料理ではなく、その土地土地の食文化を反映しています。『おでん学!』を手に取ることで、私たちは日本の食文化の深い魅力を再発見できることでしょう。興味がある方はぜひこの一冊を読んでみてください。おでんが持つ歴史や多様性を知ることで、より一層この国の食を楽しむことができるでしょう。