絵本『ねこきちのてぬぐい』の魅力
江戸時代を背景にしたリサイクル文化を子どもたちに分かりやすく伝える新しい絵本『ねこきちのてぬぐい』が、講談社から発売されました。この作品は、主人公のねこきちが手ぬぐいと一緒に過ごす様子を描いた物語。エコや循環型社会についての考えを、自然な形で読み取れるストーリーになっています。
江戸時代とリサイクルの関係
近年の環境問題や大量消費社会に疑問を持つ人が増えている中、私たちは過去の価値観を振り返る必要があります。江戸時代は、限られた資源をいかに有効に活用するかが重視され、リサイクルが当たり前の文化として根付いていました。『ねこきちのてぬぐい』は、この時代の生活様式がどれほどエコだったかを子どもたちに教えてくれます。
作者の思い
作者のかとうまふみさんは、北海道在住の絵本作家。畑仕事を通して自然と触れ合い、江戸文化やリサイクルの重要性を実感したそうです。手ぬぐいは日常的なアイテムでありながら、使い道が豊富なため、物語の中でも重要な役割を果たします。そのため、色々な方向に進化する手ぬぐいを通じて、持続可能な生活様式の大切さを考えさせられます。
手ぬぐいの立体感
この絵本の中で特に目を引くのは、手ぬぐいの工夫です。作者は布で手作りした手ぬぐいを描き、その質感や雰囲気をリアルに表現しています。さらには、手ぬぐい自体に「豆絞り」柄を施し、視覚的な楽しさも与えています。これにより、手ぬぐいが物語の主人公として存在感を発揮しています。
日常の中のエコ
物語では、ねこきちと手ぬぐいが楽しい日々を過ごす中で、古くなった布が焼かれるというシーンがあります。この場面は、使い捨て文化への警鐘を鳴らしているとも取れます。物を大切にするという考え方は、決して新しいものではないというメッセージが伝わってきます。特に、最近の大量生産・大量消費が日常となっている現代に対する一つの回答とも言えるでしょう。
まとめ
『ねこきちのてぬぐい』は、遊び心とメッセージ性が見事に融合した絵本です。子どもたちだけでなく、大人にとっても考えさせられる一冊になるはずです。家族で一緒に読み、江戸時代の知恵や優雅な暮らし方について話し合うきっかけとしても活用して欲しいと思います。環境問題に直面する今だからこそ、物の大切さやエコについて考える良い機会となるでしょう。
書誌情報
- - 書名:『ねこきちのてぬぐい』
- - 著者:かとうまふみ
- - 定価:本体1,500円(税別)
- - 発行会社:株式会社 講談社