産総研が開発した材料開発DXアプリでスピーディーなモノづくりを実現
国立研究開発法人である産業技術総合研究所(産総研)が、材料開発の現場で役立つ新しいアプリ群を発表しました。これにより、モノづくりの効率が大幅に向上することが期待されています。
1. アプリ群の特長
開発されたアプリ群は、材料開発のデジタル化を手軽に実現するために設計されています。特に、プログラミングの知識がなくても使用できる点が大きな魅力です。ユーザーが自社で取得したデータをそのまま利用できるため、他者とデータを共有する必要がなく、セキュリティ面でも安心です。
具体的には、下記の2つのアプリが用意されています。
- - AISTex-Modeling App: 材料の画像と特性を関連付け、深層学習モデルを構築するアプリ。自社のデータを使用して、任意の新規材料の特性を予測できます。
- - Multi-Objective Bayesian Optimization App: 多目的ベイズ最適化に基づき、推奨実験条件を提示するアプリ。変数の標準偏差も計算され、実験の精度が向上します。
2. モノづくりの状況と課題
最近、ビッグデータやAI技術を活用する材料開発DXが注目を集めていますが、現場での導入が進まない理由はいくつかあります。プログラミングスキルの不足、データ保護に関する懸念などがその主な要因です。多くのモノづくり企業では、自社データの流出を防ぐため、外部クラウドにデータを置くことに抵抗を感じています。このような背景から、産総研は使いやすいアプリ群を開発し、現場への導入を後押ししました。
3. アプリの利用方法
アプリの使用方法は非常にシンプルです。AISTex-Modeling Appでは、光学顕微鏡や電子顕微鏡で取得した画像を利用して、材料の特性を予測することが可能です。画像を取り込み、簡単に特性の数値を得られるため、評価試験の時間を大幅に短縮できます。
また、Multi-Objective Bayesian Optimization Appでは、グラフを利用して最適な実験条件を視覚的に示してくれます。このアプリも特性データを連携させることで、より信頼性の高い結果を提供します。
4. 今後の展望
2025年5月22日に開催される「産総研中部センター講演会」でこのアプリ群が紹介される予定です。産総研グループは、企業での材料開発効率を向上させるため、さらなる技術コンサルティングやサポートサービスも提供していく方針です。
材料開発に興味がある企業の皆さん、これらのアプリ群を活用して新たな技術革新を実現してみてはいかがでしょうか。特に、新素材開発における効率化を図りたい方々には大変おすすめです。
講演会情報
さらに具体的な活用法や開発動向については、産業技術総合研究所の株式会社AIST Solutionsまでお問い合わせください。
これからの材料開発の未来を一緒に切り拓いていきましょう!