衛星通信と無人ヘリコプターによる新たな火山観測手法の成功
2023年の春、株式会社JDRONEは無人ヘリコプターによる新しい火山観測手法の成功を発表しました。この方法は、衛星通信を活用し、研究船から遠隔操作を行うというもので、従来は困難であった無人島の火山活動を効果的に観測することを可能にしました。特に注目すべきは、この技術が火山活動が活発な西之島をターゲットにしたことです。
無人ヘリコプターの導入の背景
JDRONEによる無人ヘリコプターの運用は、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)や名古屋大学と連携し、火山観測の実施に向けて行われました。従来のドローンは航続時間が短く、操縦が制限されるため、火山観測には限界がありました。しかし、無人ヘリコプターであれば、最大90分の航続時間を誇り、衛星通信によって遠隔からの操縦が可能となります。
実際の観測では、研究船「かいめい」と、福島県南相馬からの衛星通信を通じて、西之島周辺の海域での観測を行いました。この無人ヘリは、空中に吊るした磁気センサーを使用し、約4km×6kmの範囲をマッピングすることに成功しました。これは、接近が難しい火山島の観測において、画期的な成果と言えるでしょう。
観測の手順と成果
観測の準備にあたっては、無人ヘリの操縦者と研究者が密に連携し、流れを見守りながら進めました。海上での発着と陸上からの衛星通信による遠隔操縦が組み合わさり、無人ヘリは安定した飛行を維持しました。海底の火山活動のデータを収集することで、地下のマグマの動きをも推測することが可能になります。
特筆すべきは、今回の試みがただの一度の観測でなく、無人ヘリと小型ドローンを併用し、従来にない観測の効率化を実現した点です。小型ドローンが行う変色水の採水や地形測量と、無人ヘリによる広域観測が連携することで、火山活動の調査が全体的に加速しました。
展望と今後の利用
得られた磁気データは、今後の詳細な解析に役立つものとして期待が寄せられています。特に、火山島の活動に関する迅速な調査が求められる現状において、この無人ヘリを利用した観測手法は、今後ますます需要が高まると考えられています。
加えて、無人ヘリコプターの技術を進化させていくことにより、他の火山もしっかりと観測する道が開かれることでしょう。この新技術が、科学の発展に寄与し、火山観測の新たな可能性を切り開くことを願っています。
まとめ
無人ヘリコプターによる遠隔火山観測は、今後の観測手法として確立されていく予感があります。衛星通信を駆使した新しい時代の到来を感じさせるその可能性に、私たちは期待を寄せ、さらなる発展を見守っていきたいと思います。