日本とイタリアのエネルギー協力
2024年10月6日、広島で開催されたLNG産消会議2024において、JOGMEC(石油・天然ガス・金属鉱物資源機構)とイタリアのエネルギー企業Eni S.p.Aは、エネルギーの安全保障を強化し、LNG供給と調達の多角化を目指した協力覚書(MoC)を締結しました。この締結は、両者の関係をさらに強化し、特に緊急事態におけるLNG供給源の多様化に貢献するものと位置づけられています。
覚書の目的と背景
JOGMECは、世界のLNGプロジェクトに対してさまざまな技術や金融面での支援を行ってきました。一方、Eniはアフリカやアジア・大洋州を中心にロバストなLNGポートフォリオを構築しており、安定したLNG供給を計画しています。両者はこの協力を通じて、ガスセキュリティの強化とLNGの供給機会を高めることを目指しています。
昨今のウクライナ危機により、エネルギーの安全保障に対する再評価が進む中、国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、アジア地域でのLNG需要は着実に増加する見込みです。特に日本では、LNGが発電用燃料として3割を占め、その安定供給は経済活動や生活に不可欠となっています。
JOGMECの役割とLNGの重要性
JOGMECの役割は、LNGの安定供給をサポートするだけでなく、緊急時における燃料調達業務を法改正により強化してきました。具体的には、民間企業が燃料調達を困難にした場合、経済産業大臣の要請に基づき、JOGMECが自ら調達業務を行うことが可能となっています。この新たな覚書は、こうした調達業務の具体的な検討を誘導する要素を持っています。
さらに、JOGMECはLNGバリューチェーンにおいてメタン排出を削減し、透明性を高める取り組みも行っています。「クリーン」なLNG供給に向けた連携を進めることで、持続可能なエネルギーの流通を貫く方向性を示しています。
今後の展望
JOGMECとEniは、今後もガスセキュリティの向上とLNGの供給多様化に向けて対話を進めます。この協力のもと、LNGがトランジション燃料としての機能を果たすことが期待されています。国際的な視野で、LNG供給の安定化に向けた取り組みが注目される中、日本のエネルギー政策にとっても大きな意義を持つ一歩となるでしょう。