建設業界におけるデジタル化の現状
建設業界は、情報共有やデータ管理の効率を高めるため、デジタル化、いわゆる「DX」の推進が求められています。応用技術株式会社が実施した調査によると、共通データ環境(CDE)の導入が進んでおり、導入率は約7割に達しているものの、実際に効果的な活用ができている企業はわずか25%にとどまっています。この結果が示すのは、単にCDEを導入するだけではなく、その後の運用や定着に関する課題が大きいことです。
CDE導入におけるメリットと現実
CDEは、膨大なデータと多くの関係者が関わるプロジェクトにおいて、情報を一元管理し、スムーズに共有できる仕組みとして注目されています。プロジェクトごとの特性に応じた情報の整理と、関係者間での正確な共有は、プロジェクトの成功に不可欠です。しかし、効果的にCDEを運用できていない企業が多い現実が浮き彫りとなっています。調査で浮かび上がった主な問題点は、学習コストが高く、新しいシステムに馴染むまでのハードルが高いことです。33%以上の企業が、CDEの使い方を習得するためのコストが大きな障壁だと報告しています。
調査結果から見えた課題
調査では、施工現場の情報共有方法に関する質問も行われました。その結果、従来型の「CADデータ」が依然として主流となっており、BIM/CIMモデルの活用は進んでいるものの、全体の一部でしかないことが示されました。また、情報共有において「使いやすい」と感じる回答が77%ある一方、約20%が「使いにくい」と感じており、多くの現場で運用設計の差が問題視されています。
最も多く挙げられた課題は、プロジェクトによって情報の共有手段やツールが異なることです。こうした環境のばらつきが、情報共有の妨げとなり、プロジェクトのスムーズな進行に影響を与えています。また、コミュニケーションの不全や属人化が進んでいることも問題点です。
今後の方向性
今後、建設業界では、よりスピーディかつ確実な情報連携が求められています。リアルタイムでの情報共有や多様なデータの一元管理を実現することは、複雑なプロジェクト運営を効率化する手段として重要です。また、運用に関するルール整備の必要性も高まっており、技術と運用の両面での改善が求められています。特に、学習コストの軽減とシステムの簡素化、運用時のルール整備が課題として挙げられています。
CDE導入の重要性
CDE導入は重要ですが、その導入だけでは効果を期待することは難しいことが調査から明らかになりました。効果的な利用には、被利用者の教育や運用体制の整備が必要です。そのため、CDEを通じて情報を効率的に管理するためには、技術サポートに加えて、教育プログラムも組み込むことが重要です。
無料オンラインセミナーの開催
このような背景を受けて、応用技術では、CDEの導入と運用に向けた無料オンラインセミナーを2025年12月16日(火)に開催します。このセミナーでは、BIMの情報共有を効率的に行うための具体的な方法について解説する予定です。CDEを活用し、情報の共有やデータ管理の課題克服を検討されている方々にとって、ためになる内容となることを期待しています。
今後、建設業界での情報共有とデータ管理の効率化を進めるためには、CDEを有効に活用することが不可欠です。そのためも、現場での体制を整え、全体で最適な運用ルールの構築を進めることが求められます。以上のような観点から、今回の調査結果やセミナー内容を通じて、業界全体が一緒に進化していくことが期待されています。