IHIが全国発明表彰で発明賞を受賞
IHIは、公益社団法人発明協会が主催する令和7年度全国発明表彰において、発明賞を獲得しました。この受賞は、同社が開発した「石炭火力発電用ボイラに用いるアンモニア混焼バーナ」(特許第7049773号)の技術に対するものです。この技術は、脱炭素社会の実現を目指すもので、特に燃料アンモニアによるエネルギー伝達の新しい可能性を示しています。
全国発明表彰は、毎年、日本の科学技術の発展に寄与する優れた発明を表彰するもので、皇室の意向を受けて行われています。IHIの受賞は、2017年から進めてきたアンモニアの燃焼技術開発によるものです。特に、2024年度に行われたJERA碧南火力発電所4号機での大規模実証試験が評価されました。ここでは、アンモニアが熱量比20%で燃焼され、燃焼性、プラント運用性、安全性において良好な結果を得ることができました。
アンモニア燃焼の意義
燃料アンモニアは、火力発電設備の脱炭素化を図るための重要な手段として位置づけられています。今回の実証試験では、環境に配慮したエネルギー供給を実現できることが示されたのです。特に、燃焼によるNOx排出濃度が管理され、安定した運用が行われた点が注目されます。この技術が広く採用されることで、火力発電の環境負荷を大きく減少させることが期待されています。
IHIは、2010年代半ばから燃料のアンモニア利用に着目し、着実に研究を進めてきました。2017年から2018年度にかけては、内閣府による戦略的イノベーション創造プログラムのもとで、石炭火力発電におけるアンモニア燃焼の可能性を調査しました。これに続き、NEDOの支援を受けた実証試験の準備を行い、2021年度からはJERAと共に実証事業を進めてきました。
社会実装に向けての展望
アンモニア燃焼技術の社会実装に向けて、JERAと連携しながら、IHIは全力で取り組んでいます。技術的なハードルをクリアし、実際の運用においても信頼性が確認されたことで、今後の展開が期待されます。さらに、国際標準のルール作りにも貢献し、技術仕様書の策定にも参加しています。このような取り組みを通じて、安全にアンモニアを燃料として利用できる社会の構築に貢献していくことが求められています。
まとめ
IHIのアンモニア混焼バーナが受賞したことで、この技術が持つ可能性が再評価されています。燃料アンモニアの利用は、持続可能なエネルギー社会の実現に向けて大きなステップとなるでしょう。今後の技術進展に期待が寄せられています。IHIは、引き続きこの分野での研究と開発を進め、脱炭素社会の実現に貢献していく所存です。