神戸市水道局のDX化プロジェクト
神戸市水道局は、地域住民に安定的な水の供給を行う重要な役割を担っています。そこで最近、日立システムズと連携し、減圧弁の維持管理業務をデジタルトランスフォーメーション(DX)により効率化した取り組みを始めました。このプロジェクトでは、最新の「CYDEEN水インフラ監視サービス」を活用し、配水の水圧をリアルタイムで監視しています。
1. 背景と導入の経緯
これまで、減圧弁の維持管理は、現場に設置された水圧計から定期的にデータを収集するという手作業に頼っていました。この方法では、障害の発生を市民からの通報で認識するため、復旧作業に時間がかかり、効率化が求められていました。日立システムズは、効率的かつ迅速な対応が可能なシステムを提案し、神戸市水道局の業務をサポートすることとなりました。
2. 減圧弁水圧監視システムの概要
新たに構築されたシステムは、水圧監視装置から水圧データをセルラーLPWAを通じてクラウドへ送信し、遠隔で異常をリアルタイムに監視できます。これにより、水圧異常が確認されると、管理事務所へ自動で警告が発信され、迅速な対応が可能となります。さらに、水圧データはWebページを通じて常に確認でき、透明性も向上しました。
3. 導入時の工夫
このシステムの成功には、以下のような工夫がありました:
- - 神戸市の山間部における微弱な電波を考慮し、事前の電波調査を実施
- - 各設置場所での水圧の正常範囲を設定し、異常を判定する際のしきい値を機器ごとにカスタマイズ
- - 通常の水圧変動による誤検知を防ぐため、アラート機能を工夫
これらの工夫により、システムは高い精度と信頼性を持つようになりました。特に、減圧弁が正常に稼働している時でも、その範囲内での水圧変動がアラートを triggering しないように調整しています。
4. 導入の効果
運用開始から1年以上が経過し、神戸市水道局は本システム導入による多くの利点を実感しています。これまでの手作業によるデータ回収が不要となったことで、作業負担の軽減だけでなく、障害発生時の迅速な対応が実現しました。さらに、下流の給水装置の破損リスクを低減し、地域住民の水使用に安定感を提供しています。
5. 水道局の見解
神戸市水道局の中野陽介様は、稼働開始からの効果を感じていると語っています。「データのリアルタイム収集により、維持管理業務の高度化を図り、地区による差異に対応した管理を続けていきたい」とのことです。
6. 日立システムズの取り組み
日立システムズは、CYDEEN水インフラ監視サービスを通じて、水に関連するあらゆる監視機能を提供しています。実績と技術をもとに、全国の水道事業体への支援を行っており、未来の水運用の効率化を図っていく姿勢が伺えます。
水道とテクノロジーの融合が地域のインフラをより強固なものにする。このような先進的な取り組みが各地で進むことで、これからの水道サービスの未来が明るくなることに期待が寄せられています。