共同印刷とミエタ、都立高校への探究学習支援を開始
共同印刷株式会社(東京都文京区)と株式会社ミエタ(東京都中央区)が提携を結び、令和7年度より東京都の約100の都立高校で「総合的な探究の時間」プログラムを実施することとなりました。この取り組みは、教育現場と出版社が連携し、多様な学びの形を支援することを目指しています。両社は今回、東京都からの委託によってこの事業を推進していくことになります。
1.背景と目的
文部科学省が定めた高等学校学習指導要領の改訂に伴い、2022年度から必修化された「総合的な探究の時間」。このプログラムは、生涯にわたって探究を深める能力を育成することを目的としています。育成されるのは、変化の激しい社会に対応できる資質・能力を持つ未来のクリエイター、つまり求められる指導内容が時代の流れに適応したものである必要があるのです。
とはいえ、都立高校では生徒の興味や関心が多岐にわたるため、すべてのニーズに応えることが困難であり、大学や企業との連携が課題とされています。共同印刷とミエタが取り組むこの事業は、教育委員会がそれぞれの学校に合ったプログラムを提供することで、高校教育の質を高めることを目的としています。
2.事業の概要
この事業は、令和7年4月1日から令和8年3月31日までの期間にわたって行われ、学校の特色や実情に合った探究プログラムを提供します。具体的には、年間実施プログラム(年間約25コマ)と短期実施プログラム(年間約3コマ)の2種類が用意されており、合計約100校で実施予定です。
特に注目すべきは、社会のフロントランナーとなる講師陣が、実社会のテーマに基づいた課題解決に挑戦させる点です。生徒たちは講師と共に、実際の社会課題に取り組みながら自己を見つめ直し、対話を通じて深い学びを実現します。
3.教育現場への影響
共同印刷の不破貴計部長は、教育現場で探究学習や論文指導へのニーズが高まっていることを把握し、指導体制の構築や個別支援に取り組む学校の課題を指摘しています。彼は、教育の環境が変化する中、一人ひとりが「自分らしさ」を持って学ぶ場を作ることが重要だと考えており、そのための施策がこの取り組みにつながると信じていると言います。
一方、ミエタの村松知明代表は、各校の特色教育として探究モデルを確立することで魅力的な教育の実現を図りつつ、教員の負担軽減にもつなげることで教育現場の働き方改革を目指しています。また、大学入試改革や私立高校無償化などの変化が進む中、この事業が全国の公立高校に広がることで、魅力的な探究教育の機会が増えることを願っています。
4.おわりに
共同印刷とミエタの取り組みは、教育現場と出版の連携による新たなステージを切り開くものと言えるでしょう。探究学習の質を高め、都立高校における学びの魅力を引き上げるこのプロジェクトが、今後どのように展開されていくのか、注目が集まります。