QuemixとSCSK、量子コンピュータ技術で資本業務提携
近年、AIや自動運転、電気自動車などの発展に伴い、高性能な素材開発の需要が急増しています。その開発期間短縮とコスト削減に貢献するのが、マテリアル・インフォマティクス(MI)と呼ばれる計算科学技術です。この分野で、次世代の計算基盤として注目されているのが量子コンピュータです。
株式会社QuemixとSCSK株式会社は、この量子コンピュータ技術を活用した材料計算市場における事業拡大を目指し、2024年11月15日に資本業務提携を締結しました。
量子コンピュータと材料開発
量子コンピュータは、従来のコンピュータでは解くのが困難な複雑な計算を高速に処理できる可能性を秘めています。特に材料開発においては、物質の性質をシミュレーションする計算に威力を発揮すると期待されています。
Quemixは、量子コンピュータ向けのアルゴリズム開発に強みを持つ企業です。独自開発のクラウド型材料計算プラットフォーム「Quloud」や、磁性材料のシミュレーションソフトウェア「Quloud-Mag」を提供しています。特に、量子化学計算アルゴリズム「確率的虚時間発展法(PITE®)」は特許を取得しており、同社は2028年を目標に材料計算分野での量子コンピュータ実用化を目指しています。
一方、SCSKは、幅広い業界でITサービスを提供する大手企業です。顧客企業のMI推進を支援するソリューション群を有しており、中でも「Citrine Platform」は、様々な材料分野の開発を支援しています。
提携によるシナジー効果
今回の提携により、両社はそれぞれの強みを活かし、材料計算市場における競争力を強化します。具体的には、以下の様なシナジー効果が期待できます。
ナノスケールからマクロスケールまで対応可能なシミュレーション技術の提供: Quemixの高度なアルゴリズムとSCSKの幅広い顧客基盤を組み合わせることで、多様なニーズに対応できるようになります。
量子コンピュータ向けアルゴリズム開発の加速: SCSKの顧客からのフィードバックを活かし、QuemixはFTQC(エラー耐性量子コンピュータ)向けのアルゴリズム開発をさらに推進します。
SCSKグループの既存サービスの量子コンピュータ対応: Quemixは、SCSKグループが提供する既存サービスの量子コンピュータ対応を支援することで、サービスの高度化を図ります。
社会への貢献
この提携は、量子コンピュータ技術の社会実装を促進し、材料開発の効率化、ひいては社会課題解決に大きく貢献すると期待されています。両社の連携により、より革新的で効率的なソリューションが提供され、持続可能な社会の実現に繋がる可能性を秘めています。
関連企業
Quemix: テラスカイのグループ会社。量子コンピュータ、量子センサ、材料計算関連の研究開発を行う企業。
SCSK: 幅広いITサービスを提供する大手企業。マテリアル・インフォマティクス分野でもソリューションを提供している。
テラスカイ: クラウドサービスのリーディングカンパニー。Salesforce導入実績でトップクラス。証券コード:3915(東証プライム)
今後、両社の取り組みがどのように社会に貢献していくのか、注目が集まります。