ポーラ化成工業と東北大学が新しい研究拠点を設立
ポーラ・オルビスグループの一環であるポーラ化成工業株式会社が、東北大学と協力し、新たな研究機関「境界の融和」共創研究所を設立しました。この研究所は、化粧品の製剤と人間や外界との相互作用に焦点を当て、特に「製剤と肌」「製剤と環境」の境界での挙動を探求します。
設立の背景
化粧品は肌と外界との境界で機能します。このため、製剤がどのように肌と相互作用し、また環境に対して影響を与えるのかを理解することが重要です。ポーラ化成工業は、特に皮膚と製剤および製剤と環境とのインタラクションに力を入れています。この新しい研究所では、ナノテラスと呼ばれる先端的な放射光技術を使用して、高度な分析を行うことでこれらの課題に取り組みます。
設立された共創研究所は、ポーラ化成工業のフロンティアリサーチセンターと東北大学の国際放射光イノベーション・スマート研究センター(SRIS)内に位置し、ナノレベルの現象を捉える技術を活用します。これにより、新しい領域での研究が進められ、革新的な化粧品製剤の開発が促進されます。
研究の目的と活動内容
共創研究所では、化粧品の製剤を通じて「肌」という境界を越え、新しい生活者価値や社会貢献を追求することを目指しています。具体的には、肌を中心とした生体試料と化粧品製剤の相互作用を評価・可視化する技術を開発し、ミクロ構造とマクロ物性の関連を解明します。そして、これらの知見をもとに、高機能材料の体系的な設計に取り組んでいく予定です。
この共創研究所は、単なる研究の場ではなく、ポーラ化成工業と東北大学の研究者たちが協力し、継続的に革新的なアイデアを生み出す場所として機能します。研究の結果は、製品開発や社会貢献につながる新しい価値創出に寄与することが期待されます。
期待される成果
ポーラ化成工業と東北大学の関係者からは、研究所設立に対する大きな期待の声が上がっています。ポーラ化成工業の取締役である鶴岡宏樹氏は、製剤と肌、環境との相互作用を深く理解することで、機能的な改善だけでなく環境への配慮も実現される研究へとつながると述べています。
また、東北大学の西堀麻衣子教授も、ナノテラスを活用した研究が新たな素材開発やデバイス制作に貢献することを期待しています。双方の知見と技術を活用することで、新しいアプローチが見出され、未来の化粧品や関連商品に新たな価値を付与することができるでしょう。
今後の展望
「境界の融和」共創研究所は2025年2月1日から2028年3月31日までの期間、東北大学青葉山キャンパスに設置されます。研究の進展は、化粧品業界だけでなく、広く社会へ貢献することが期待されています。ポーラ化成工業と東北大学の連携がもたらす未来の可能性に、今後ますます注目が集まることでしょう。