中性子線照射で藻類品種改良に革命!バイオ燃料生産量を向上
地球温暖化対策として、CO2吸収量の高い藻類が注目されています。しかし、藻類の機能を最大限に引き出すには、目的とする特性を強化する品種改良技術が不可欠です。
これまで、藻類の品種改良には電磁波や重粒子線などの方法が試されてきましたが、培養液中の細胞への効果が限定的でした。そこで、NTTとユーグレナ社は、培養液への透過性が高い中性子線に注目し、共同研究を実施。世界で初めて、中性子線照射による藻類の品種改良に成功しました。
中性子線照射のメリット
中性子線は、電荷を持たず、物質への透過性が高いという特徴があります。そのため、培養液中の藻類細胞にも効率的に照射することができ、遺伝子変異を誘発することができます。
研究成果
研究チームは、2種類の中性子線(高エネルギー中性子線と熱中性子線)を用いて、藻類の遺伝子変異導入効率を調べました。その結果、それぞれの線種に最適な照射条件を特定することに成功しました。
さらに、最適化された照射条件で引き起こされる変異パターンを解析した結果、中性子線照射は従来の方法とは異なる変異パターンを引き起こすことが明らかになりました。
バイオ燃料生産量の向上
研究チームは、最適な照射条件をバイオ燃料の原料となる油脂を生産するユーグレナに適用しました。その結果、野生株と比べて最大1.3倍の油脂生成量を示す株の品種改良に成功しました。
今後の展開
今回の成果は、中性子線照射が藻類の品種改良に有効な技術であることを示しました。今後は、CO2吸収量を向上させた藻類の品種改良や、他の藻類への応用などが期待されます。
社会へのインパクト
本研究で確立された技術は、気候変動問題の解決に貢献する可能性を秘めています。バイオ燃料の生産量増加による化石燃料の代替、CO2吸収量の向上による地球温暖化抑制など、様々な課題の解決に役立つことが期待されています。