派遣社員の意識調査2025年版
株式会社マイナビが実施した「派遣社員の意識・就労実態調査(2025年版)」の結果が発表されました。今調査は2019年から続くもので、今回で7回目となります。対象は20歳から59歳の派遣社員で、合計1,400名からの回答が得られました。この調査では、派遣社員が感じている満足度や不安、将来の希望など多角的に分析されています。
満足度について
調査によると、派遣社員の約7割が「派遣社員として働くこと」に満足していると回答しました。その理由としては、「有給休暇や休日が取得しやすい」が33.0%で最も高く、次に「業務の責任が重くない」が24.5%という結果が出ています。一方で、「不満」の要因では「賞与がない・少ない」が54.9%と最も高く、次いで「給与が低い」が48.1%と続きました。
平均時給は1,488円で、前年よりも増加していますが、理想的な時給との差は156円で、未だ理想と現実のギャップが存在しています。この結果は、派遣として働くことの利点と同時に報酬面での課題も浮き彫りにしています。
雇用形態の変遷
調査では、約4人に1人が前職の雇用形態が「正社員」とのことでした。前職が正社員だった人たちは、派遣社員を選んだ理由として「責任が重くない」「すぐ仕事に就ける」という心理的な安心感を重視していることが明らかになりました。その一方で、経済的な面では正社員の方が高い評価を得る一方で、派遣社員の方が「時間的な余裕」や「精神的な余裕」を感じる傾向にありました。
このように、派遣社員の選択は経済的な理由とともに、ライフスタイルやストレス管理の側面が強く関連していると言えます。
正社員への希望
今後の希望については、派遣社員の42.9%が引き続き派遣で働くことを希望する一方で、29.9%が正社員を希望しているとの結果が得られています。正社員を希望する理由としては、「賞与が欲しい(69.9%)」「雇用が安定している(57.7%)」「賃金が高い(48.3%)」が挙げられています。特に、賞与などの手当が不透明な派遣業務に対する不安が、正社員への希望を促している様子が伺えます。
AIによる将来への不安
さらに、AIの進化についての不安も浮上しています。調査によれば、約3人に1人の派遣社員がAIの導入によって仕事が減少するのではないかと心配しています。特に、テレオペやオフィスワークといった定型業務でその不安が強く、仕事が減ることでの影響を懸念しているようです。
また、将来に向けてリスキリングをしている割合は19.8%にとどまっており、不安を感じながらも行動につながっていない現状が浮かび上がります。これらの結果から、派遣社員は将来に対して不安を感じつつも、適切な支援がなければ自身のキャリアを確立するのが難しい状況にあると言えます。
おわりに
以上の調査結果から、派遣社員が抱える満足度や不安は多面的であることが分かりました。引き続きパートタイムで働く意向を示す一方で、報酬に関する不満や将来の不安に目を向ける必要性も感じられます。マイナビは、今後の派遣社員に対する環境研究や支援の強化を通じて、働きやすい職場の実現を目指すべきだと感じます。