エネコートテクノロジーズ、次世代型太陽電池開発における新たな一歩
京都府久世郡に所在する株式会社エネコートテクノロジーズは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業」において、自社の提案が採択されたことを発表しました。これにより、同社は次世代型太陽電池、特にペロブスカイトを使った技術の開発と社会実装に向けて新たなスタートを切りました。
この事業は、経済産業省資源エネルギー庁が策定した「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトの最終フェーズに位置づけられ、2030年度までに特定の条件下、つまり日射条件などを踏まえた上で、発電コスト14 円/kWh以下を達成することを目標としています。
ペロブスカイト太陽電池の特徴と市場の期待
現在、ペロブスカイト太陽電池は軽量で薄く、曲げることができるという特長があります。この特性から、従来の結晶シリコン系太陽電池が設置できないような場所、例えば耐荷重に制約がある屋根や建物の壁面への導入が期待されており、これにより市場が形成される可能性が高いとエネコートは見込んでいます。
また、エネコートは本事業において、京都大学を中心としたさまざまな機関と連携し、2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて、研究開発の成果を社会実装へ確実につなげる体制を整えています。
新技術「ロールtoロール工法」の導入
さらに、エネコートは本事業において「ロールtoロール工法」を採用することを計画しており、これによりフィルム型太陽電池の市場形成をさらに進めていく意向です。この技術は生産効率を大幅に向上させる期待があり、競争が激化する日本国内の市場において、エネコートが有利なポジションを獲得するための鍵となるでしょう。
競争が激化する国内市場
国内市場においては、日本政府が2025年2月に閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」および経済産業省が2024年11月に発表した「次世代型太陽電池戦略」にも、2040年までの累積で約20GWのペロブスカイト太陽電池導入目標が盛り込まれています。これにより、今後の市場競争がさらに加速することが予想されます。
エネコートは、上記のような背景を受けて、コンソーシアムの中核的な存在として研究開発を進めており、競争に挑んでいく姿勢を示しています。
エネコートの企業紹介
株式会社エネコートテクノロジーズは、2018年に京都大学の若宮淳志研究室の研究成果を実用化するために設立されたスタートアップ企業です。同社は、日本国内で唯一のモジュールメーカーを目指すスタートアップであり、IoTやモビリティ分野での技術を展開し、脱炭素社会に向けたエネルギー利用の革新に貢献することを目指しています。
エネコートの取り組みは、単に技術開発に留まるものではなく、社会全体に対するインパクトを考慮し、持続可能な未来の実現に向けた強いビジョンを持っています。今後の進展に注目が集まります。