日本と移民の児童の運動実態調査
2023年10月、笹川スポーツ財団は東京23区内の公立小学校で「国際化が進む公立小学校における子どもの運動・スポーツ実態調査」を実施しました。この調査は、移民の児童たちが直面する運動やスポーツに関する課題を明らかにするために行われました。
調査結果の概要
調査では1年生から6年生までの児童と保護者を対象に、運動に関する習慣や好みなどを聞き取りました。その結果、驚くべき発見がいくつも浮かび上がりました。
スポーツ実施率の差
調査より、日本人児童と比べて移民の児童が校内でスポーツや運動遊びを実施する割合が著しく低いことがわかりました。具体的には、日本人が90%に対し、移民は70.4%と20ポイントの差がありました。特に高学年になると、その差はさらに顕著になり、移民の子どもたちの中では、約4割が校内での運動に参加していないという結果が示されました。
好まれるスポーツの違い
体育の授業内での人気の種目には差が見られました。「水泳」は移民の児童にとって特に人気があり、75.9%が好きだと回答したのに対し、日本人は61.8%でした。一方で、器械運動については、マット運動や鉄棒、跳び箱が日本人よりも移民の児童には低い人気でした。これは、器械運動に慣れていない移民の児童が多いことが影響していると考えられます。
体力テストに見る違い
また、体力テストの結果においても興味深い違いが見られました。日本人と移民の児童の間で、反復横跳びや20mシャトルラン、50m走の種目において有意な差が確認されました。これは、運動経験や言語の壁が体力テストの理解に影響を与えている可能性が考えられます。
受容感と体力テスト
体力テストの結果は、児童の受容感とも関連があることが示されました。「先生が励ましてくれる」や「友達が励ましてくれる」といった経験が、運動能力に良い影響を与えていることが明らかになりました。移民の児童は、このようなポジティブな経験が少ないため、テストの成績が低くなる傾向があるのかもしれません。
課題と解決策
これらの調査結果から見えてくるのは、移民の児童が学校で運動をする機会が限られているということです。日本社会においてスポーツ活動を通じたコミュニケーションや仲間意識を育むためには、教師や学校側だけでなく、社会全体が彼らを支える環境を整える必要があります。たとえば、移民の子どもたちに適した運動プログラムを作り、言語の壁を取り除く工夫が求められます。
社会全体での意識改革が必要とされている今、笹川スポーツ財団の取り組みは重要な一歩です。これからの子どもたちが、国籍に関わらずスポーツを楽しみ、自らの能力を最大限に発揮できる環境づくりが急務です。これを通じて、移民の子どもたちが楽しめるコミュニティが生まれることを期待しています。