SaaSアカウント管理の実態と課題
クラウド技術が進化する中、企業におけるSaaS(Software as a Service)の利用が急増しています。しかし、株式会社SmartHRが実施した調査によると、多くの企業でSaaSアカウント管理が適切に行われていないことが明らかになりました。特に退職者や異動者のアカウント管理の不備は、組織にとって重大なリスクを伴います。
調査概要
2025年4月に行われたこの調査では、SaaSツールを利用しているものの、ID管理システムが未導入の情報システム部門の担当者108名に対して、SaaSアカウント管理の実態が問いかけられました。その結果、63.9%の担当者が、退職者や異動者のアカウントが適切に管理されていないと実感しています。
未使用アカウントの実態
調査によると、60.2%の担当者が「未使用アカウントが存在する」と回答しました。特に、現在使用されていない退職者や異動者のアカウントが多いという問題が浮き彫りになっています。これにより、無駄なライセンス費用が発生し、企業にとって予算の無駄遣いに繋がっていると考えられます。
アカウント管理における課題
さらに、SaaSアカウント管理の大きな課題として、「各SaaSごとに個別管理が必要で手間がかかる」との意見が47.2%を占めました。加えて、アカウント管理のルールが不明確であることや、アカウント管理に関連した業務の負担が大きすぎると感じる担当者も多く見られます。
情報連携の遅れが影響
「人事・総務部門との情報連携に課題がある」と回答した担当者は44.9%に。その中でも、「連絡のタイミングが遅い」との指摘が74.2%に達しました。連絡漏れが発生することも多く、これがアカウント管理の適切な実施を妨げる要因となっています。
退職者アカウントのリスク
調査では、58.0%の担当者が退職者や異動者のアカウントが残っていることによる「不正利用の懸念」を挙げています。また、49.3%は、退職者が社内情報にアクセスできることによるリスクも懸念しています。これらの不備は、企業にとってセキュリティの脆弱性と経済的損失を引き起こす可能性があります。
課題克服のための提案
このような課題を解消するためには、従業員情報を統合管理するシステムの導入が重要です。ID管理システムを利用すれば、従業員の入退社や異動に際して、自動でアカウントの発行や削除を行うことができ、セキュリティを向上させるとともに、業務の効率化が図れるでしょう。
SmartHRの役割
SmartHRは、2024年7月から情報システムの領域で「IdP機能」を提供し始めました。この機能は、従業員情報を統合し、管理業務を効率化することを目指しています。2025年8月には、SaaSアカウントの管理が簡単にできる「ID管理」機能の提供も予定されています。これにより、企業の業務負担を軽減し、セキュリティを強化する手助けを行います。
まとめ
SaaSアカウント管理の実態が浮き彫りになった今回の調査は、企業における管理体制の見直しとともに、新しいシステム導入の必要性を改めて示唆しています。企業が今後もSaaSを活用し続けるためには、効果的なアカウント管理が不可欠です。SmartHRはその解決策を提供するべく、今後もサービスを進化させていくことでしょう。