事業承継が示す新たなキャリアの選択肢
近年、日本での事業承継において、実務経験を持つビジネスパーソンが注目を集めています。株式会社トランビが発表した「TRANBI 継キャリ白書 2025-2026」では、個人による事業継承の流れとその背景が詳細に分析されています。この白書は、個人の事業承継に関する動向や業種別ランキングなどを示しており、今後のキャリア選択における指標として活用されています。
逐次増加する個人による事業承継
トランビは自社のM&Aプラットフォームを通じて、22万人以上の登録ユーザーを有しています。これにより、個人が主体となる事業承継の重要性が高まってきており、特に後継者不在という社会課題を乗り越えるための新たなキャリア選択肢として、事業承継が解決策となり得ることが明らかになっています。
特に注目すべきは、大多数の個人が持つ実務の経験を活かしながら、新たな事業に携わるという流れです。このような事業承継は、未経験者が新たに起業するのではなく、過去の経験を基にした選択肢として評価されています。特に、情報通信業や卸売・小売、飲食サービス、製造業といった分野が上位にランクインしており、これらは既存のスキルや経験がそのまま役立つ業種です。
継業の業種ランキング
個人による事業継承における業種ランキングでは、トップにコワーキング・レンタルスペース、次いでECサイト・通販、ウェブサービスが上がってきています。この背後には、少人数での運営が可能であり、自らの関与の度合いを高められる事業形態が選ばれていることがあります。法人と異なり、個人は事業拡張よりもオペレーションが容易で、かつ自身の意思決定がダイレクトに事業結果に反映されやすい点が評価されています。
都道府県別の動向
事業承継の件数を見ると、東京都が圧倒的な数を誇る一方、京都府が成約率で首位を獲得しています。デジタル技術に適応できる分野の成約が目立つ一方、京都府では伝統的な宿泊業や飲食業など、地域に根付いた事業が好調です。
興味深いのは、地域性や文化的側面が企業選択に影響を及ぼしている点です。特に地域と結びついた業種は個人が事業イメージを描きやすく、引き継ぎがスムーズに行えることから高い成約率につながっています。
経営環境と今後の展開
2026年に向けては、新しい経営環境の中で、「選ばれる理由」が重要視される時代が到来します。特に、地域に根差したビジネスの価値が見直される一方で、規模拡大を狙ったビジネスモデルは見直しが迫られるでしょう。
このように、事業承継は個人にとっての新たなキャリアパスとなり、地域の特色を活かした事業運営が求められています。
現在トランビでは、「継キャリ推進プロジェクト」を通じて、事業承継を通じたキャリア形成の重要性を訴えています。このプロジェクトでは、個人が事業を承継することで得られる実践的な経営スキルや意思決定力に焦点を当てています。
今後は、地域性や文化性を重視した事業が、個人のキャリア選択肢として大きな影響を与えることが期待されます。また、インバウンド需要の回復も後押しとなり、飲食業やサービス業など、地域密着型の事業の成長が見込まれています。事業承継はもはや選択肢の一つではなく、個人のキャリアにおいて欠かせない要素となるでしょう。