印象派の巨匠モネ、その愛した庭と『睡蓮』の秘話を探る新刊
2024年10月3日、印象派の巨匠・クロード・モネにまつわる新刊『印象派のモネ「花の庭・水の庭」へ』が発売される。このビジュアル伝記は、モネの人生の終焉にかかわる作品「睡蓮」と、彼が愛したフランス・ジヴェルニーの庭を中心に展開される。また、著者の南川三治郎氏が撮影した圧倒的に美しいビジュアルが作品に命を吹き込んでいる。
モネは43歳でジヴェルニーに引っ越し、その地で独特の園芸に目覚めた。彼が作り上げた二つの庭、「花の庭」と「水の庭」は、四季折々の美しい風景を背景にモネの数々の作品が生まれた。特に「睡蓮」は、その絵画の中でしばしば描かれるモネ自身が感銘を受けた自然の美であり、本書ではそれがどのように形成されたのかを詳しく探っていく。
著者の南川氏は、モネが愛したジヴェルニーの庭を撮影するために足掛け2年をかけ、四季ごとの豊かなビジュアルを収めた。モネの絵画と見事にシンクロする画角で捉えた写真は、視覚的な魅力を通じて読者を作品の世界に引き込む。南川氏は、文化と人々、そしてヨーロッパ芸術を深く追求したレジェンド的ジャーナリストであり、その得難い視点が本書にも生きている。
また、ジヴェルニーに残るモネの館内部の写真も多数収録されている。もともとは農家だったこの家は、モネによって独特の色彩感覚で振り分けられ、個性的なアトリエへと生まれ変わった。ピンクの外壁、緑のシャッター、青い台所にはモネならではの銅鍋、視覚を楽しませるミモザ色のダイニングなど、まさに美食家モネの趣向が表れている。このような空間は、現在では世界中から多くのモネファンが訪れる名所となっている。
モネの生涯は、彼がジヴェルニーに移住して以降、特に大きな変化を遂げた。1883年、妻カミーユを失った後、彼は二人の息子と、パトロンの妻とその連れ子たちを引き連れて新しい生活を始めた。大家族にとって、この広い家と庭はまさに理想的な環境であった。本書では、彼のプライベートや印象派の巨匠としての人生を豊富な古写真を交えながらやさしい解説とともにお届けする。
著者の南川三治郎氏は、1945年に三重県で生まれ、東京写真大学を卒業後、大宅壮一マスコミ塾を第1期生として修了。パリを拠点にヨーロッパの「人と文化」に焦点を当てた独自の取材活動を継続し、多数の著作を持つ実力派ジャーナリストだった。彼の作品は、ヨーロッパの芸術、文化、そして人々をリアルに描く上で高い評価を受けている。
書籍の詳細
- - 書名: 印象派のモネ「花の庭・水の庭」へ
- - 発売日: 2024年10月3日(木)
- - 価格: 1,980円(税込)
- - 著者: 南川三治郎
- - 仕様: A5判/124ページ
- - 発行: 株式会社世界文化社
本書を通じて、モネの深い愛情と、その背景にある庭への思いを感じてほしい。彼の制作の源泉であり、見過ごされがちな側面に光を当てた作品となっている。