ゼロエネルギーを実現する新素材「SPACECOOL」
近年、気候変動や環境問題が深刻化する中で、省エネ技術や持続可能な素材への関心が高まっています。その中で、SPACECOOL株式会社が開発・販売する放射冷却素材「SPACECOOL」が注目を集めています。この素材は、電力の使用を抑えつつ効果的に冷却を行うことができ、特に福岡市にあるQTnetの通信局舎で導入が進んでいます。
SPACECOOLの導入経緯
QTnetでは、夏季における通信局舎内の温度上昇が課題となっていました。従来は遮熱塗料によって温度管理を行っていましたが、この方法では十分な効果が得られなかったため、試験的にSPACECOOLを使用することに決定しました。施工したのは通信局舎の天面および側面で、その結果、内部温度を最大5.3°Cも低下させることが確認されました。
この成功を受けて、QTnetは全16ヵ所の通信局舎にSPACECOOLを導入することを決定しました。これにより、冷房の効率が大幅に向上し、ランニングコストの削減にも寄与しています。
電力使用量の劇的な改善
SPACECOOLの導入後、電力使用量の削減効果が際立ちました。導入日は2023年9月15日であり、その後のデータによると、特に7月には最大10.3%の削減が実現しました。このデータは、2022年10月から2024年9月にかけての期間で取得されたもので、明らかに冷房にかかる電力消費を大幅に削減する成果を示しています。
QTnetの執行役員である永山氏は、SPACECOOLの導入により局舎内の温度管理が改善され、冷房の設定温度を最大4°Cも上げることができたと述べています。また、運用コストの削減だけでなく、地球環境に対する意識の重要性も語っており、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが評価されていることが分かります。
SPACECOOLの技術とその効果
SPACECOOLの特徴は、直射日光を遮り、さらに熱を宇宙に逃がすことで冷却効果を発揮する点です。この素材は、特に「大気の窓」と呼ばれる特定の波長において、非常に高い透過率を持っており、熱を効果的に外に放出することができます。この特性により、外気温よりも低い温度を維持できるゼロエネルギーの冷却が実現されています。
このように、SPACECOOLはただの省エネ技術にとどまらず、地球環境への配慮という観点からも大きな意義を持つ素材です。今後、さらに多くの通信局舎での導入が進むことが期待されており、この流れが持続可能な社会の実現に寄与するでしょう。