近年、経済産業省が進めるデジタルライフライン全国総合整備計画に基づく「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業」が注目を集めています。この事業において、7社が共同で取り組むインフラ管理DXシステムの開発が正式に始動しました。
このプロジェクトに名を連ねるのは、株式会社NTTデータ、エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社、東日本電信電話株式会社、東京ガスネットワーク株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社、株式会社EARTHBRAIN、ソフトバンク株式会社の7社です。彼らは、デジタルライフラインの向上を図り、各社の地下インフラ情報の流通を促進することを目指しています。
デジタルライフラインとは、生活に必要不可欠な上下水道や電力、ガス、通信といったインフラをデジタル技術によって効率的に管理・運用するための基盤を指します。この分野では、各企業がそれぞれ独自に設備情報を管理しているため、例えば災害時において情報の共有や復旧作業に多大な時間と労力がかかるのが現実の問題です。
現在のインフラ管理は、権限のある情報の所有者がいるために情報が分断されており、異なる事業者間での情報照会が煩雑になることがあります。このため、具体的な作業を進める際には、図面の仕様を合わせたり、位置情報の統合を行うために多くのコストと時間が必要です。そこで、インフラ管理DXシステムでは、これらの課題を解決するためのデータ連携の仕組みを構築し、各事業者間で業務を共通化・自動化できるようにします。
このシステムでは、地下インフラに関する情報を効率的にデータ化し、各社が保有する設備情報を共通フォーマットに変換、位置情報の補正や統合をスムーズに行えるようにするツールの開発も行います。これにより、埋設物の管理や掘削作業におけるマシンガイダンス、災害時の情報共有といった具体的な業務の効率化に寄与することが期待されています。
また、この取り組みは、さいたま市と八王子市を中心に、実施期間中の2024年5月から2025年3月にかけて中核的な地域で先行実装される予定です。各社の専門性を生かしながら、インフラ管理DXの実現を通じて、デジタル技術を用いたインフラの革新が一層進展することが見込まれています。
今後の展開に注目が集まります。7社によるこのプロジェクトが、インフラ管理のあり方を根本から変える可能性を秘めており、社会全体にとってのメリットが期待されます。デジタルライフラインの進化が我々の生活をどう変えていくのか、今から目が離せません。観察が続きます。