NEDOの支援を受けたロボット導入を加速する新たなプロジェクト
2023年、川崎重工業株式会社やNTTビジネスソリューションズ株式会社を含む7社が共同で提案した「SI効率化と多彩なロボットシステムの創出を実現する共創基盤開発」が、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)による公募事業に採択されました。このプロジェクトは、2025年から2027年度にかけて実施される予定であり、産業用ロボットの導入を促進し、国内外の課題解決を図ることを目指しています。
国内の労働市場を支えるロボットの可能性
日本は少子高齢化に伴い、労働人口の減少が深刻な課題となっています。このため、産業用ロボットやサービスロボットの活用が急務とされています。しかし、多くの企業や業界では、ロボットの導入コストや技術的な難易度によって、実際の導入が進んでいない状況です。このような未活用の市場を「ロングテール市場」と呼び、今後の成長が期待されています。
NEDOの採択を受けた本プロジェクトでは、ロボットとIT分野で豊富な経験を持つ7社が協力し、ロングテール市場でのロボット導入を支援するための「共創基盤」と、それを利用するための「エコシステム」の両方を構築することを目指しています。具体的には、異なるロボット機種や用途に関係なく使用できるシステムを提供し、ロボット導入を促進する環境を整えていきます。
共創基盤とエコシステムの重要性
プロジェクトの重要な目的は、特定のメーカーに依存しない共創基盤の構築です。これにより、ロボットシステムインテグレーションに必要なツールやモジュール、サブシステムの統合を図り、高い信頼性とコスト効率を誇るシステムを実現することが目指されています。また、ステークホルダーとしての企業や開発者が集うエコシステムを形成し、情報の共有や連携を促進することで、市場の拡大を狙います。
さらに、具体的なユースケースを開発し、自動化を進めることで、実際の現場でのロボット導入の実証を行う予定です。例えば、多品種少量生産が求められる工作機械製造の自動化や、食品工場でのピック&プレース作業が挙げられます。
各社のコメント
川崎重工業の代表は、「今回の採択は、私たちのロボット技術を社会に実装する大きな一歩です。ロングテール市場の課題に寄り添い、持続可能な未来へ貢献します」と語っています。
NTTビジネスソリューションズの責任者も「地域に密着した環境整備に貢献し、人材不足の解決に向けて努力していきます」と述べ、技術開発を進める意気込みを見せています。
また、株式会社ダイヘンの責任者は、「現場ニーズに迅速に対応できる技術基盤を構築し、社会課題の解決に寄与する」とコメント。これにより、ロボット業界全体が連携し、導入促進を図るという思いを表明しています。
未来に向けた挑戦
本プロジェクトを通じて目指される「共創基盤」と「エコシステム」は、ロボット業界のさらなる発展と新たな市場の開拓に向けた重要なステップであり、労働力不足の解決に大きく貢献することでしょう。このプロジェクトに参加する各社の取り組みが、ロボット技術の社会実装の拡大と、日本社会全体のさらなる発展につながることが期待されます。