岡山理科大学ががんの多剤耐性化を阻止する新たな発見
岡山理科大学生命科学部の研究チームは、がん細胞に存在する苦味受容体が抗がん剤に対する多剤耐性化に深く関与していることを世界で初めて発見しました。この研究は、7月28日に科学雑誌『Scientific Reports』に発表され、がん研究における重要なブレークスルーとして注目を集めています。
苦味受容体の発見とその機能
これまでの研究から、人間は舌にある苦味受容体を通じて有害物を感知し、体外に排出することが知られています。昨年、同グループは皮膚にも同様の受容体が存在し、これが有害物を感知して細胞外に排出する役割を果たしていることを明らかにしました。そして今回の研究では、乳がんや肺がんの細胞内にも苦味受容体が存在し、抗がん剤に対する耐性化がこの受容体によって引き起こされることが確認されました。
抗がん剤の排出機構
研究によると、がん細胞内には多様な抗がん剤に反応する苦味受容体が常駐しており、薬剤が細胞内に入ると受容体が活性化され、細胞から抗がん剤を排出する「排出ポンプ」が作動します。この機構により、薬剤の効果が弱まることが課題となっていました。
新たな治療法への期待
研究チームは、この機構を逆手に取り、苦味受容体のブロッカーを使用することで抗がん剤に対する耐性化を回避できる可能性があると考えています。抗がん剤の頻回投与による耐性化は、がん治療において重大な問題であるため、苦味受容体ブロッカーとの併用療法が新しい治療手段となることが期待されています。
臨床現場では免疫療法や放射線治療、外科治療など、多様ながん治療が行われていますが、今回の発見が化学療法の今後の進展に寄与することを願っています。研究の成果は、がん治療の新たな境地を開く可能性を秘めており、今後の研究に大いに注目していきたいところです。
まとめ
今回の岡山理科大学による研究は、苦味受容体ががん細胞の多剤耐性化にどのように関与するかを明らかにし、がん治療における新たなアプローチを提供しています。この重要な発見が実際の治療に応用される日が来ることを期待しています。この研究の詳細については、岡山理科大学生活科学部生物科学科の中村元直教授に問い合わせることができます。
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