ニチイ学館に対するMBOの公正性を問う投資会社の疑問

ニチイ学館に対するMBOの公正性を問う投資会社の疑問



令和2年6月、在香港の投資会社リム・アドバイザーズが、ニチイ学館の経営陣によるマネジメント・バイアウト(MBO)の公正性に疑念を持ち、質問状を提出しました。リム・アドバイザーズは、ニチイ学館の取締役会と特別委員会に対して、同社が発表したMBOに関わる発表内容やプロセスの透明性について懸念を示しました。

質問状の内容と背景



リム・アドバイザーズは、ニチイ学館が2020年5月8日に公表したMBOに関する発表が公正でないのではないかという懸念から質問状を送るに至ったと言います。その内容の中心には、ニチイ学館の株価に対する評価が挙げられています。リム・アドバイザーズが算定した結果では、ニチイ学館の公正な株価は、MBOで行われる公開買付価格である1500円を大きく上回る2400円に達することが示されています。

しかし、質問状が送付されるまでに、リム・アドバイザーズとニチイ学館との面談が実現しなかったため、公開での質問状拡充を決定したとのことです。この疑念は、公正なM&Aが資本市場への信頼を構築するために不可欠であるとの経済産業省の指針に基づいており、取締役会がこの指針をしっかり守ることが企業としての自覚に迫られています。

公正性への疑問



質問状は、以下の3つの観点からMBOの公正性に疑問を呈しています。

1. 取締役会の意思決定プロセスの透明性の欠如:取締役10名中8名が買い手グループに含まれるため、利害関係が存在する可能性が拭えません。
2. 新型コロナウイルスの影響を受けたタイミングの巧妙性:社会的混乱の中で、MBOを急ぐ理由が十分に説明されていない点が指摘されています。
3. 低すぎる公開買付価格と企業評価の不透明性:MBOを通じて価値のある経営改革や事業再構築に関する情報が不足しています。

リム・アドバイザーズの懸念



MBOには本質的に利益相反のリスクが内在しています。リム・アドバイザーズは、MBOの実施には独立した相談役やアドバイザーが欠如していること、さらに成功報酬システムが取締役会の公正性に影響を与えかねない点を指摘しています。経営陣が提示するリスクや副作用が少数株主の利益に反するのではないかという懸念が強まる中、リム・アドバイザーズは株主の利益を守るための透明性の確保が必要だと強調しています。

結論と今後の展望



リム・アドバイザーズが提出した質問状は、ニチイ学館の経営プロセスへの深刻な疑問を呼び起こしました。今後ニチイ学館がどのようにこれらの問題に対処していくかが注目されます。この出来事は、MBOや社内経営の透明性に対する取り組みが企業としての信頼性や市場の健全性につながることを改めて示しています。株主の権利を尊重し、公正なプロセスを実施することで、ニチイ学館はより良い道を歩むことができると期待されます。

会社情報

会社名
LIM Advisors Limited
住所
19/F, Ruttonjee House, 11 Duddell Street, Central, Hong Kong
電話番号

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