NTTドコモとノキアの協力による運用自動化の未来
最近、株式会社NTTドコモがノキア製のSelf-Organizing Network(SON)システムであるMantaRay SONを導入し、国内で初めてマルチベンダー間のLTEと5Gの運用自動化を実現しました。このシステムは、複数のベンダーからなる基地局装置を用いて構成された無線アクセスネットワーク(RAN)において、効率的な運用を可能にします。
マルチベンダーとは
マルチベンダーネットワークは、異なる会社が製造した基地局装置を組み合わせたもので、各エリアや需要に応じた最適なLTEおよび5Gネットワークの構築を促進します。ドコモは、これまで専用のシステムで運用していたLTEネットワークから、ノキア製の新しい5G基地局装置を導入することで、運用システムの連携が必要に迫られました。しかし、導入当初は手動での運用が必要で、効率化が課題となりました。
MantaRay SONの役割
そこで登場したのがMantaRay SONです。このシステムは、ネットワークの状態を常に監視し、必要に応じて設定変更を自動で実行できるクローズドループの自律制御機能を持っています。具体的には、LTE側の設定変更をリアルタイムで検出し、それに基づく適切なパラメータ変更を判断、さらには5G運用システムを介してその変更を実行します。これにより、ネットワーク運用者が手動で行っていた作業の時間を最大90%削減することに成功しました。
効率的な品質改善
この運用自動化により、タイムリーにかつきめ細やかな品質改善が実現します。さらに、自律制御により、人為ミスが原因の通信障害を軽減できるため、利便性も大幅に向上します。
今後の展望
ドコモはさらに、MantaRay SONの機能を活用してOREX SMOとの連携や、他社製のLTEおよび5G基地局装置にともなう運用自動化に注力していく予定です。また、オープンRANエコシステムの活用により、より高度な自動化システムの実現を目指します。
AIによるネットワーク運用
加えて、MantaRayソリューションの一部として搭載されるAI機能を利用し、自然言語によるネットワーク運用の自動化も構想しています。この技術が実現すれば、より洗練された自律型ネットワークの論理的構築が可能になります。
まとめ
ドコモとノキアの提携を通じて、マルチベンダーRANにおける自律型ネットワークの実現とAIを用いた運用自動化が加速しています。これにより、我々の通信環境はより快適で効率的なものになることでしょう。現代の通信インフラにおけるこの技術革新から目が離せません。