関西スタートアップ112社の調査結果が示す満足度と課題
関西のスタートアップシーンの活性化を目的に、NPO法人「生態会」が112社を対象に行った調査結果が発表されました。この調査では、スタートアップ経営者がどのような意識を持ち、どのような課題に直面しているのかを可視化し、関西の起業環境の改善につなげることを目指しています。
調査の背景
生態会は、2018年に設立され、関西のスタートアップを取り巻くエコシステムの発展に寄与する活動を行っています。これまで受けた取材の結果をもとに、関西の起業状況についてのレポートを定期的に発行しており、特にこの調査は2024年10月31日に発行予定の『関西スタートアップレポート』の特集として位置づけられています。
満足度について
調査に協力したスタートアップ企業の約70%は、起業当初と比べ現在の事業に満足していると回答しました。その理由としては、「事業の成長を実感している」「仲間や支援者が増えた」という声が挙げられました。一方で、資金調達に困難を感じている、売上が期待に届かないという意見もありました。
起業年数と満足度
特に設立1年から2年の企業では、約33%が満足していないと回答しており、この層は事業の進捗に苦しんでいることが示唆されています。また、設立10年以上の企業でも、少なからず満足度が低い傾向が見られ、創業メンバーの不在や経営課題が影響している可能性があります。生態会の副理事長、岩田進氏は「現状に満足していては成長がない」との考えを示し、貪欲に成長を追求する姿勢が求められています。
売上と満足度の関係
売上が1億円以上の企業では、満足度が高く、特に「大変満足」という評価をする企業が過半数を占めました。このことから、年商と経営者の満足度には強い相関関係が見られると分析されています。
人材に関する課題
スタートアップにおける創業メンバーの残留率は高く、81%の企業が半数以上の創業メンバーが現役であると報告しています。しかし、メンバーが抜ける原因は「能力不足」や「方向性の違い」が多く、給与面も悩みの種となっているようです。
関西におけるスタートアップの最も大きな課題は、人材の採用と資金調達であり、特に経営層の人材確保が難しいとされます。これは、日本のベンチャーキャピタルの多くが東京に集中しているため、資金調達においても困難が伴います。
調査結果の意義
調査結果は、今後の関西のスタートアップ環境改善を目指すうえで重要なデータとして活用されるでしょう。特に大阪府や大阪取引所との連携を通じて、エコシステムの改善に向けた議論が進められています。特に、スタートアップ育成に向けた取り組みや投資環境の整備が期待されます。
まとめ
関西のスタートアップは、事業の成長を感じつつも様々な課題を抱えています。調査を通じて得られたデータは、将来の成功へとつなげるための貴重な指針となるでしょう。生態会は、今後もスタートアップ支援体制の強化に向けて活動を続けていくとしています。