住友理工株式会社とインテグリカルチャー株式会社は、細胞農業向けの細胞培養バッグを共同開発し、試験販売を開始しました。この培養バッグは、住友理工が開発したガス透過性の高い独自素材と精密成型技術によって実現しました。従来の容器では、培地を容器容量の40%程度までしか入れられなかったのに対し、この培養バッグは容量の80%以上の培地を入れることが可能で、高収量・高密度な培養を実現します。また、ガス供給ポートや酸素供給装置が不要なため、培養工程の省スペース化や作業効率の向上も期待できます。
両社は、2022年から「CulNet®(カルネット)コンソーシアム」に参画し、細胞農業の標準サプライチェーン構築に向けて共同で取り組みを進めてきました。この培養バッグの開発は、コンソーシアム内での共同開発の成果と言えるでしょう。
開発された培養バッグは、200mLタイプと1,000mLタイプの2製品で、インテグリカルチャーでのアヒル肝臓由来細胞を用いた評価では、従来と比べて2倍の収量となる4gの「細胞性食品」の作出に成功しました。現在、コンソーシアム参画企業とともに連携をスタートしており、今後はバッグの大容量化を進め、小~大スケールまでシームレスな培養プロセスを構築していく予定です。
今回の共同開発成果は、11月19日(火)~21日(木)にシンガポールで開催される「Agri-Food Tech EXPO ASIA 2024」の培養肉パビリオンにて展示されます。住友理工グループは、今回の製品化をオープンイノベーションの成果として捉え、今後も「自然と都市と人の空間が繋がるグリーンで快適な未来社会」の実現に向けて取り組みを続けるとしています。