ヤマハ発動機由来の廃材を使用した共創空間「リジェラボ」
株式会社船場は、ヤマハ発動機の製造過程で生じる廃棄物を再利用した新しい共創スペース「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab」をオープンしました。この取り組みは、持続可能で再生可能な社会を志向する「リジェネラティブ」というテーマに基づいています。
未来に優しい空間づくり
「リジェネラティブラボ」は、ヤマハ発動機が直面する社会課題への取り組みを発信する場所です。このスペースのコンセプト「リジェネラティブ」は、環境問題解決に向けて新たな価値の創造を目指しています。それは、単なる持続可能な社会の実現だけでなく、より良い状態への再生を意味します。
船場は、ヤマハ発動機の製品の製造・輸送過程で発生した廃棄物をアップサイクルし、展示用什器や家具の製作を行いました。このプロジェクトにより、訪れた人々にリジェネラティブの重要性を伝えることを目指しています。
FRPを使った新たな製品の形
特に注目されるのが、ヤマハ発動機が製造する耐久性に優れたFRP(繊維強化プラスチック)です。この素材は、レジャーボートやプールなどに使用されていますが、リサイクルが難しいため大きな課題を抱えています。ヤマハ発動機はこの課題を解決するために、製造やリサイクル技術の研究に取り組んでいます。
「リジェラボ」では、使用が終了した競技用プールの廃材を活用して新たな什器を制作しました。これにより、FRPの新しい再利用方法を提唱し、環境への影響を考慮した取り組みを示しています。展示用のベンチやテーブルも、このプールの廃材から生まれました。
アートから学ぶリジェネラティブ
共創スペースの一環として、コンテンポラリースタジオwe+とコラボレーションし、FRPの端材や廃材を使用したアートワークも展示します。この展示は、「観察から未来を駆動する」をテーマに考案されており、これまで廃棄物として見過ごされてきた素材に新たな視点を与えています。観覧者は、アートを通じて廃棄物に対する固定観念を再考し、リジェネラティブの概念について考えるきっかけを持つことが期待されています。
持続可能な素材の再利用
空間内では、ヤマハ発動機で使用されていたボートの運搬用台車や、廃棄物保管用のFRPワゴンも再利用しています。これらの什器は、単に環境に優しいだけでなく、機能的かつ独自のデザインが施されています。また、マウンテンバイクパークで採取された土を利用し、植物を育てるためのプランターや、廃校から持ち込まれた家具などもアップサイクルされています。
オープンイベントと今後の展望
このスペースは2023年10月25日にオープンし、新しい事業やイノベーションの拠点になることを目指しています。ワークショップやイベントを通じて、社内外の交流を促進し、持続可能な未来へ向けた活動を広めていく予定です。今後もヤマハ発動機が着目する社会課題をテーマにした展示を定期的に入れ替えていくことで、訪れる人々に常に新しい発見を提供していきます。
このように、株式会社船場の取り組みはアップサイクルを通じてリジェネラティブな社会の実現を目指しています。彼らの活動は、環境への配慮だけでなく倫理的な視点を持ったデザインの先駆けとも言えるでしょう。今後の展開に注目が集まります。