空き家対策と町並みの魅力を再発見するイベント開催

町並みと空き家を考える新たな試み

2024年度、公益財団法人日本ナショナルトラストが新たに見出した「地域遺産支援プログラム」、通称「トラスト・エール」。このプログラムで東かがわ市引田町家マッチングプロジェクト（略称：マチマチ）が採択され、町の魅力を維持しつつ地域の空き家問題に取り組むことが決定しました。引田地区は歴史的な町並みを有しており、地域住民の努力によって空き家の譲渡を進める取り組みが始まったのです。

引田地区の現状と目指すべき未来

引田地区は、古い町並みが残る香川県東かがわ市の一部で、過去には瀬戸内海交易や城下町として繁栄してきました。しかし、少子高齢化の進行に伴い、地域に点在する空き家の数が急激に増加しています。2021年の国勢調査によると、東かがわ市の高齢化率は42.8％、空き家率は20.7％にのぼります。このままでは町の独特な文化や生活景観が失われてしまう危機に直面しているのです。

そこで、引田の若手有志たちが集まり、空き家の譲渡先を見つけるマッチング活動を始めました。最初の数軒の譲渡に成功した彼らは、トラスト・エールの支援を受け、今後の3年間でさらなる譲渡を推進する計画を立てています。特に、プロジェクトは地域の若手が中心となって組織されており、各分野の専門家やアーティスト、旅人など、さまざまな関係者の協力を得て、その活動の幅を広げています。

大切なストーリーを感じる町

引田地区の空き家問題を解決するための一環として、マチマチは、空き家ツアーやセミナーの開催を予定しています。これにより地域住民の意識を高め、他の団体や行政と連携して空き家活用への理解を促進することが狙いです。また、地域経済を活性化させるため、引田の歴史的建造物の調査なども実施し、その価値を再発見することに努めています。

瀬戸内国際芸術祭2025との連携

来たる2025年、引田は瀬戸内国際芸術祭の夏会期の舞台ともなります。この機会を利用して、地域住民と新しく移住したい人々との交流を促進するためのイベントも計画されています。例えば、引田の町並みをライトアップし、地域の魅力を夜間に発信する「光のプロジェクト」などが考案されており、地域活性化に貢献することを目指します。

特別なイベント「町並みミーティング」へご参加を

このような取り組みのスタートを祝うため、8月10日から11日にかけて「第1回引田町並みミーティング」が開催されます。このイベントでは、引田の町並みとマチマチの活動を紹介し、参加者が実際に町を歩くプログラムも用意されています。さらに、旧伊藤商店の歴史的な建物の管理に関する話や、空き家や景観をテーマとしたシンポジウムも企画されています。

この町並みミーティングに参加し、引田の空き家問題やその背後にある地域の文化的な価値を共に考えてみませんか？新たな出発を迎えるこの町で、多くの人が集まり、未来への一歩を踏み出すことが期待されます。