BCPの実効性を追求する企業へ
リスクマネジメントコンサルティングを行うニュートン・コンサルティング株式会社が、日本国内のBCP(事業継続計画)策定済みの企業に従事する1,000人を対象に実施した調査結果が明らかになりました。この調査では、BCPが日常のリスクにどの程度対応できるか、また、BCP実効性を高めるために必要な要素について探求しています。
調査の背景
日本の企業におけるBCP策定率は増加の傾向を示していますが、リスク(大規模地震や異常気象など)にさらされた企業環境では、策定率だけでなくその実効性も重視するべきです。この調査は企業が直面するリスクに対し、BCPがどのように機能するのか、またどのような課題が存在するのかを確認する目的で実施されました。
調査の詳細は公式サイトにて確認できます。
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調査結果サマリー
ここでは、調査結果の主要なポイントをまとめて紹介します。
BCPが機能すると思っているのは半数以下
BCPを策定した企業に所属する回答者のうち、BCPが「機能する」と考える割合は48%にとどまり、昨年から変わらず半数以下という結果が出ました。
役職による回答の差も顕著で、経営陣やBCP事務局では約60%が「機能する」と認識する一方、事業部門の実感は45%に留まっています。
BCPが機能しない組織の課題は“ヒト”
BCPの機能しない組織は、経営陣や従業員の取り組み意識の不足が課題とされます。それに対し、BCPが機能する組織は、代替生産拠点やITシステムの不足といった“モノ”に関連する問題が上位に位置付けられることが分かりました。
実効性を高めるために必要な要素
有事に適切にBCPが機能するためには、企業文化の育成やトップの危機意識が欠かせなく、従業員への教育・訓練も重要だとされます。BCPが機能する組織では、教育に加え、現場の権限移譲や継続的な訓練が必要とされています。
まとめ
調査の結果、自社のBCPが危機に「機能する」と感じている割合は昨年同様、48%にとどまることが明らかになりました。また、役職別に見ると経営層が高い認識を持つ一方で、事業部門との間にはギャップがあることが示されました。BCPの機能性を高めるには、企業のトップと従業員間の意識統一が求められます。
BCPに関連する課題は、企業文化や意識向上の必要性が強調される結果となりました。特に、有事におけるBCPの真価は、災害が発生することによって初めて検証されるため、継続的な取り組みが欠かせないことを示しています。
BCPの策定が進展している現状を踏まえ、企業はその実効性をさらに追求する必要があります。私たちの調査結果が、BCPの実効性向上に向けた一助となれば幸いです。