越境トレンド2025:人材流動化で変わる組織戦略の現状
株式会社ローンディールは、企業と個人の越境支援を通じて得たデータを基に、2025年における越境の動向を分析しました。ここ数年、越境は単なる学びの場から、組織や事業に変化をもたらす重要な手法へと進化を遂げています。
越境の意義:個人の挑戦から組織戦略へ
現在、越境は企業人材における新たなシフトを示しています。この変化の背景には、日本の企業が持つ革新人材の不足や社員の固定化といった根本的な課題が存在します。これに対し、異なる分野での実務経験を経て新たな知見やスキルを身につける越境転移が、企業のイノベーションや変革を促進する施策として注目されています。
近年、越境は単なる個人の学びの場ではなく、政策レベルでも強力にサポートされるようになってきました。2025年には経済産業省から越境学習のガイドラインが発表され、企業はこの取り組みを意図的に設計・支援することが求められています。これにより、越境はその効果が企業全体に波及することが期待され、今や社会全体のトレンドの一部となっています。
越境者の増加:担い手の変化
越境者数は今後のニーズに応じて着実に増加しています。現在、出向やサイドプロジェクトを利用している越境者は、特に注目される分野です。ローンディールが提供する支援事業における越境者数は、過去3年間で着実に増加しており、これは越境が長期的な人材戦略として受け入れられつつあることを示しています。
特に2025年は、レンタル移籍のリピート導入が増加し、サイドプロジェクトの参加者数も急増しました。これは、オンライン越境プログラム「outsight」が公募プログラムとして企業に広がりを見せ、参加者が累計100名を超えるなど、越境が試行段階から実用段階へと進化していることを指しているのです。
ミドルシニア層や女性の参加が加速
越境者の年齢層にも顕著な変化が見られます。特に、ミドルシニア層の参加率が2024年には1.8%であったものが、2025年には13%に急増しました。この変化は、職場での役割見直しや定年延長にともなうキャリア自律の趨勢を反映しています。また、女性の参加者も同様に増加傾向にあり、サイドプロジェクトでは女性参加者の比率が2024年の23.1%から2025年には30.8%へ、レンタル移籍においても13.3%から22.0%へと上昇しています。
これにより、越境は単なる挑戦の場ではなく、ライフイベントを経た女性にとってもキャリアの進展に寄与する選択肢としての地位を確立しつつあるのです。
越境のフィールド拡大
越境先のビジネスフィールドも多様化が進んでいます。越境者は、営業やマーケティング、新規事業開発などのコア領域に加え、ITやコーポレート領域でも活動しています。年間150名の越境者が各企業にて実務に関与し、自身のスキルや専門性を活かしつつ、新たな挑戦を行っています。これにより越境が表面的な学習に留まらず、実務を通じて具体的な成果に結びついてきているのです。
越境はもはや一部の企業だけの特権ではなく、さまざまな人々の可能性を引き出す実践的な人材開発手法として広がりを見せています。今後もローンディールは、越境を通じて企業と人が新しい価値を創造し続けるプロセスを積極的に支援していきます。