日本製鉄への共同株主提案:脱炭素化戦略の強化と透明性向上を求める

日本製鉄への共同株主提案:脱炭素化戦略強化と透明性向上を求める



世界的な機関投資家らが、日本製鉄株式会社に対し、大胆な脱炭素化戦略の強化と、その取り組みに関する透明性を高めるよう求める共同株主提案を行いました。この提案は、英大手資産運用会社リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)、豪州の非営利団体オーストラリア企業責任センター(ACCR)、日本の一般社団法人コーポレート・アクション・ジャパン(CAJ)の3者によってなされたものです。

提案内容:3つの柱で脱炭素化戦略の抜本的改革を促す

提案は大きく3つの柱から構成されています。

1. パリ協定目標に沿った排出量削減目標の設定と開示: CAJとACCRは、スコープ1、2、3の温室効果ガス排出量削減に関する短期的・中期的な目標設定と開示を求めています。現状の日本製鉄の戦略では、パリ協定目標との整合性が不十分であり、実証されていない技術への過度な依存が懸念されています。

2. 排出量削減目標達成に向けた報酬体系の導入: CAJとACCRは、温暖化ガス排出量削減目標達成に向けた進捗状況に応じた報酬体系の導入と、その詳細な開示を求めています。これは、企業の脱炭素化への取り組みをより真剣なものにするための重要なインセンティブとなります。

3. 気候変動関連のロビー活動に関する開示の改善: LGIMとACCRは、気候変動及び脱炭素化に関するロビー活動の開示改善を求めています。企業の政策への影響力とその透明性を高めることで、株主への説明責任を果たすことが求められています。

提案の背景:株主の長期的な利益を守るため

これらの提案は、LGIM、ACCR、CAJが日本製鉄と行ったエンゲージメント活動の結果に基づいています。アムンディ、ノルデア、ストアブランドといった他の主要な機関投資家も、この共同提案を支持しています。提案者らは、日本製鉄の脱炭素化戦略の現状では、株主にとって資産の座礁化など重大なリスクがあると指摘しています。

各機関のコメント:脱炭素化戦略の遅れと国際競争力の強化を訴える

LGIMの福田氏とアッシュワース氏は、日本政府の政策転換期において、日本製鉄が気候変動政策に関与する透明性と説明責任を高めるべきだと主張しました。また、国際的な気候目標に合致した政策環境は、日本製鉄の国際競争力の強化に繋がるとしています。

ACCRのオブライエン氏は、日本製鉄のグリーン化への取り組みが遅れていると指摘し、特に実証されていないCCUS技術への過度な依存を懸念。USスチール買収提案なども踏まえ、国際的な影響力を考慮した、より実効性のある脱炭素化戦略を求めています。

CAJの竹内氏は、日本製鉄の2050年カーボンニュートラル達成に向けた取り組みを評価しつつも、現状の移行計画と投資計画が不十分であり、長期的な企業価値に影響を与える可能性があると懸念を表明しています。

今後の展開:日本製鉄の対応が注目される

この共同株主提案は、日本製鉄の脱炭素化戦略だけでなく、日本の企業における気候変動対策のあり方全体に大きな影響を与える可能性があります。日本製鉄がどのようにこの提案に対応し、具体的な行動計画を示すのか、今後の展開に注目が集まります。

注記: CAJはロビー活動に関する提案3には参加していませんが、株主グループの一員として提案内容を支持しています。

会社情報

会社名
一般社団法人コーポレート・アクション・ジャパン
住所
東京都港区虎ノ門虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階
電話番号
03-6807-3630

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