「企業年金基金の人材問題を考察」
最近、株式会社珊瑚プラットフォームズが実施した「企業年金基金の実務運営に関するアンケート調査(2026年版)」の結果が公開され、企業年金基金における人材問題の実態が浮かび上がってきました。本調査により、企業年金基金はその運営を非常に少人数で支えており、将来にわたる人材確保が深刻な課題であることがわかりました。
調査の概要
本調査は、全国の企業年金基金を対象に行われ、回答したのは31基金です。調査結果によると、企業年金基金の平均実務担当者数はわずか1.8人で、84%の基金は2名以下で運営されています。これに対して、約29%の基金は既に人員不足を認識しており、また81%が「交代要員の補充に苦労している」と回答しました。さらに、現在は人員が十分であると認識している基金でも、73%が将来的な人材補充に対して懸念を持っていることが示されました。
この調査結果は、企業年金基金の運営における人材問題の深刻さを浮き彫りにしています。
現在と将来のギャップ
調査結果からは、現在「人員は概ね適正」と判断している基金が約60%を占めるもののその多くは、将来の人材確保に関する課題を抱えています。このような現状は、今の充足が必ずしも将来の安定を意味しないことを示唆しています。実際、専門性の高い業務が主体である企業年金基金は、一般的な事務職とは異なる業務であるため、人材流動性が低く、新しい人材の育成が難しいのが現状です。
採用の実態と外部支援の活用
企業年金基金の実務担当者の多くは、母体企業からの人材供給に依存しているため、外部人材市場の活用は限られているのが実情です。そのため、企業年金基金が81%の基金が人員の補充に苦労しているという結果につながっています。実務担当者の離職や休職時の補充が困難なことから、特定の個人に業務が依存する「属人化」が進むことが懸念されています。
さらに、外部委託の有効性を認識している企業年金基金が61%に達する一方、実際に外部委託を行っている基金はわずか6%にとどまっています。このことからも、認識と実態の間に大きなギャップがあることがわかります。
今後の対応策
これらの調査結果を受けて、企業年金基金においては以下の対応が求められます。
- - 業務の標準化及びマニュアル化
- - 知識の共有と引継ぎ設計
- - 外部支援の適切な活用
- - 基金間での知見の共有
人材の育成と確保は、企業年金基金の持続的な運営にとって重要な要素です。突発的な欠員や制度改定時には運営リスクとして顕在化するため、慎重な計画が必要です。この調査が示すように、単なる「人が足りない」ではなく、「人が育たない」という構造が企業年金基金の大きな課題です。
まとめ
企業年金基金の運営体制においては、人材の確保と育成が持続可能な運営の鍵となります。各基金が必要な対応策を講じ、未来の人材確保に向けて積極的な取り組みが期待されます。これからの企業年金基金の運営にも注目していきたいと思います。