水位予測システム
2025-04-09 11:14:04

茨城県における小規模水路のAI水位予測システム実証実験

茨城県における小規模水路のAI水位予測システム実証実験



NTTコムウェア株式会社とNTTコミュニケーションズ株式会社は、茨城県取手市双葉地区で行った小規模水路の水位予測に関する実証実験で、AI技術を活用した水位予測モデルの実用性を検証しました。この取り組みは、近年の集中豪雨による内水氾濫対策の一環であり、根本的な浸水被害の軽減を目的としています。

背景



内水氾濫は、排水路などの排水能力を超える局地的な大雨が原因で発生し、被害が全国各地で見られます。内水氾濫による浸水棟数は、過去10年間で68%に達し、喫緊の対策が求められています。2023年6月に起きた取手市の豪雨による大規模な内水氾濫では、農業用排水路からの水の流入が主要な要因であり、実際に甚大な被害が発生しました。

小規模水路はその特性上、急激な水位上昇が見られるため、周囲の環境や人工物の影響を受けやすい状況にあります。これに対抗するため、NTTコムウェアとNTT Comは県と連携し、素早く内水氾濫に対応できる水位予測モデルの構築を目指して、実証実験を実施しました。

実証実験の内容



本実証では、小規模水路の水位を予測するために、これまでに取得した水位データを元にAIを利用し、様々な状況を加味した水位予測モデルを構築しました。実験では、自治体の防災担当者からのヒアリングを行い、気象庁が配信する降雨予測情報や排水機の稼働状況、水田の条件などを基に、5分間隔で3時間先までの水位を予測しました。加えて、避難指示発令のためのリードタイムを考慮し、6時間先の予測も可能なモデルを開発しました。

この予測結果は、周辺住民の避難や交通規制、浸水対策の判断材料となり、実際の被害軽減に貢献します。

自治体の具体的なアクション例


  • - 集中豪雨により水位の急上昇が予測される場合、事前に排水機を稼働させた上で水を放流します。もしそれでも間に合わない場合は、国土交通省に排水ポンプ車の派遣要請を行います。
  • - 水路から水があふれることが予想される際は、住民の安全を確保するために避難指示を出し、避難所の開設や誘導を行います。

役割分担



この実証において、NTTコムウェアは水位予測システムの開発とモデルの精度検証を担当し、NTT Comは実証の運営を行いました。リアルタイム水位観測は、映像エッジAIプラットフォームEDGEMATRIXを利用し、カメラやAIボックスからのデータ提供を行いました。

結果と今後の展望



実証の結果、予測された水位は実際の水位の変動と概ね一致することが確認され、モデルの有効性が立証されました。両社は、この実証に基づいて、今後も信頼性の高い水位予測ソリューションを全国に展開し、地域防災力の向上に寄与していく方針です。

地域における内水氾濫対策の迅速化に向け、引き続きAF等の技術を活用して、地方自治体との協力を深めながら、効果的な施策を進めていく予定です。


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会社情報

会社名
NTTコムウェア株式会社 NTTコミュニケーションズ株式会社
住所
電話番号

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