新たな「投資運用関係業務受託業」制度導入の意義と影響
新たな制度「投資運用関係業務受託業」の概要
令和6年5月、投資運用業界において待望の新制度、「投資運用関係業務受託業」が創設されました。この制度は、金融商品取引法及び投資信託等に関する法律の改正に基づき、投資運用業者から計理業務や法令遵守のための指導を受託する事業者が任意で登録できるものです。これにより、投資運用業を立ち上げたり、運営している事業者にとって大きな支援となるでしょう。
新制度は2024年5月1日よりスタートし、投資運用関係業務の委託を希望する事業者が登録することで、人的構成要件の一部が緩和されることが特長です。これにより、例えば専門性を持った小規模な事業者でも、大手の運用業者との連携を強化しやすくなるでしょう。
投資運用関係業務とは?
「投資運用関係業務」とは、投資運用業者が行う業務の中で、金商法第2条第43項に基づく計理業務や法令遵守のための指導業務を指します。具体的には、金融商品取引法に基づく特例業務や、海外投資家向けの特例業務が含まれます。
この制度の導入によって、運用業者はより専門的な業務に集中できる環境が整備され、質の高い運用サービスを提供できるようになります。これは、資産運用立国実現プランの一環として、資産運用業への新規参入を促進することが狙いです。
監督体制の強化
制度創設に伴い、金融庁は投資運用関係業務受託業者に対する日常の監督事務を強化するため、監督指針を公表しました。この指針には、具体的な監督手法や留意点が盛り込まれており、業界全体の信頼性と透明性を高める狙いがあります。特に、新たに受託業務を開始する事業者に対しては、法令遵守の重要性を再認識させる要素となるでしょう。
登録の流れと要件
投資運用関係業務受託業の登録申請は、関東財務局で行われます。申請者は、必要な書類を適切に準備し、提出することが求められます。この際、履歴書や誓約書、さらに法人の場合は住民票抄本なども必要となります。正式な登録を受けることで、業務の運営において大きなメリットを享受できることでしょう。
また、登録後の業務にあたっては、各種届出が義務付けられており、今後の運営に影響を与える可能性があるため、しっかりとした準備と確認が必要です。特に、オンラインでの行政手続が原則となるため、事前に必要な手順を把握しておくことが肝要です。
定期的な届出と業務報告
この制度においては、業務の運営状況を常に最新の状態に保つため、定期的な届出が求められます。特に、登録申請書に記載された事項に変更があった場合は、速やかに届け出る必要があります。新制度の導入によって、業務の透明性向上が期待され、業界全体の信頼性が高まることが見込まれています。
まとめ
新たに設けられた「投資運用関係業務受託業」の制度は、投資運用業界にとって非常に重要な転換点となります。特に、新規参入を促進するこの制度は、事業者にとっての機会を増やし、運用の質を高める一助となることでしょう。投資運用業に携わる皆様は、ぜひこの新制度を活用し、より良い運用サービスの提供を目指していただきたいと思います。