岐阜エリア、企業とNPOが連携したワークダイバーシティ推進会議が発足
岐阜県岐阜市において、企業とNPOによる画期的な取り組みが始動しました。働きづらさを抱える市民への新しい就労支援プロジェクトとして、「雇用施策検討会議」が発足したのです。少子高齢化が加速する日本社会において、生産年齢人口の減少は深刻な問題となっています。特に岐阜県では、2060年には30万人の労働力不足が予測されており、この課題への対策は喫緊の課題となっています。
この会議体には、岐阜エリアの企業(人事・経営企画担当役員・代表取締役社長)15~20社が参加。一般社団法人サステイナブル・サポートが中心となり、サンメッセ株式会社、株式会社リーピーといった企業も協働で運営を担います。
働きづらさを抱える市民への支援
岐阜市では、ひきこもり、ニート、LGBTQ+、がんサバイバー、難病者、生活困窮者など、働きづらさを抱える市民が約4.8万人に上ると推計されています。既存の就労支援制度では十分な対応ができない現状があり、新たな支援策の必要性が叫ばれていました。
一般社団法人サステイナブル・サポートは、2022年9月から岐阜市の補助と公益社団法人日本財団の助成を受けて、「WORK!DIVERSITY実証化モデル事業」を実施。この事業では、就労移行支援事業所などを拠点に、就職に向けた訓練を提供。すでに44名が利用し、11名が一般企業に就職する成果を上げています。
会議の目的と内容
「雇用施策検討会議」は、多様な就労困難者が活躍できる雇用を創出するための取り組みを検討、企業支援の在り方について議論する場です。
初回となる11月26日の会議では、愛知県を中心に障がい者・就労困難者支援を行う一般社団法人 日本福祉協議機構 代表理事 濱野剣氏による基調講演「企業におけるワークダイバーシティの重要性」が行われます。講演後には、参加企業によるグループディスカッションを実施。「就労困難者を企業で受け入れる際の課題や障壁」について議論を深めます。
会議は全3回を予定。最終的には、岐阜市等の自治体へ企業支援の拡充に向けた政策提言を行うことを目指しています。
企業とNPOの協働
本会議は、企業とNPOの協働によって企画・運営されています。サンメッセ株式会社取締役専務執行役員田中信康氏と株式会社リーピー代表取締役川口聡氏が共同発起人となり、岐阜県内上場企業6社、岐阜市内企業10社が参画。企業とNPOが連携することで、地域全体でワークダイバーシティを推進していく体制が構築されました。
関係者プロフィール
田中 信康氏
大手証券会社で幅広い経験の後、企業の財務・IRコンサルタントやM&Aアドバイザーとして活躍。サステナブル・ブランド国際会議ではESGプロデューサーも務めています。
川口 聡氏
「地方の未来をおもしろくする」をビジョンに掲げる株式会社リーピー代表取締役。全国各地の地方企業や自治体のWebサイト制作などを手掛け、11年で1150社以上の取引実績があります。
後藤 千絵氏
一般社団法人サステイナブル・サポート代表理事。就労移行支援事業所「ノックス岐阜」などを運営し、地域トップクラスの就職者数を輩出。福祉と観光のマッチングにも取り組んでいます。
今後の展望
本会議は、岐阜市のみならず、全国へのモデル展開を目指しています。岐阜から、誰もが自分らしく生きることができる社会の実現に向けた取り組みが注目されます。